PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル

【保】神々の戯れ〜神罰〜 − 旧・小説投稿所A

RSS | 感想 | TOP
【保】神々の戯れ〜神罰〜

|<< < 2 / 7 >>|

その影の正体はいわゆる密猟者であった。
当初は別の獣が目的で山に入ったのだが、思いがけない発見に心を躍らせていた。
喋る兎とは珍しい。
体が大きいからたくさん毛皮を剥ぎ取れると思ったが、こいつは生け捕りにした方が儲かりそうだ。
密猟者は欲望を胸に秘め、こっそりと距離を縮める。
ところが、だ。

「――さてと、後ろで何やら悪巧みをしている愚か者よ。隠れていても無駄だ、出てこい」

月夜兎が普段の陽気な様子とは程遠い凍り付きそうな冷たい声で脅すように言った。

「えっ?誰かいるの?」

一方の水神はというと、全然気付いていなかったらしい。
慌てて辺りを見回していた。

「動くなよ。いつでも撃てるんだぞ」

何故気付かれたんだと心の中では動揺していたが、猟銃を持っているからこちらの方が有利だという安心感からか密猟者は高圧的に言い放った。

「じゃあ撃てば?」

しかし月夜兎は猟銃に臆するどころか、鼻先で笑う。

「出来れば傷物にしたくはなかったんだがな。恨むならてめえの減らず口を恨みな!」

密猟者は躊躇することなく引き金を引いた。
銃口から飛び出した弾丸は、月夜兎の太ももを貫通。
真っ白な毛並みに真っ赤な染みが広がっていった。
ところが月夜兎は全く痛がる素振りを見せず、それどころか銃弾が足を貫いたというのに早くも出血が止まりはじめているではないか。

「えっ……?」

密猟者の背中に冷たい汗が流れる。

「悪いな。私は昔戦いばかりに明け暮れていたせいで、痛覚がいかれてしまっているんだ」

さらりと物騒なことを言う月夜兎。

「よ、予定変更だ!お前を毛皮にしてやる!」

照準を月夜兎の頭に合わせて再び発砲する。
今度も見事に頭に命中したが、反応は先ほどと大して変わらなかった。

「あらま。さすがに頭に食らったら少しは痛いと思ったんだけどな」

月夜兎は頭をぽりぽりと掻く。
さてと、こいつをどうしてやろうか。
月夜兎は考えた。
自分がこの手で半殺しにしてそこら辺に打ち捨ててやるのが一番手っ取り早いけど、それでは何だか芸がない。
どうせならもっと手の込んだ仕返しをしてやりたい。
……そうだ。
月夜兎の頭の中に悪魔のようなアイデアが浮かんだ。


「グッ、頭が割れるように痛い!」

月夜兎は突如頭を押さえてうずくまった。

「どうしたの!?」

ずっと傍観していた水神が血相を変えて月夜兎を抱き起こそうとする。

「あ、あの人間に、私がかつて倒した、邪神が憑いているようだ。そいつが、あの銃の弾に、呪いを込め、それを食らってしまったわけだ。このままでは、私は、死んでしまう」

とても苦しそうに言う月夜兎。

「どうすればいいの!?」

水神は泣きそうな顔で聞く。

「呪いを解くには、あの人間から、邪神を払ってやればいい。だが、手順が大変だ。まず元の姿のお前が、あの人間を、十回丁寧に舐め上げるんだ。邪神を、恐がらせるためにな。そして次に、口の中に入れて、念入りに舐め回せ。そうすれば、邪神はたまらなくなって、あの人間から、出るだろう。そうすれば、呪いは解ける」

途切れ途切れにそう伝えると、月夜兎はその場に倒れこんでしまった。

「分かった。今すぐ呪いを解いてあげるからね」

水神はそう言うと、姿を元に戻し始めた。
さあ何だかよく分からないうちに追われる側となってしまった密猟者。
とにかく逃げなければヤバイということだけは分かったので、密猟者は全速力で逃げ出した。

「あー!変身中に攻撃するのは卑怯だけど、逃げるのも卑怯だぞ!」

元の姿に戻りきった水神は咆哮を上げ、密猟者を追って森の中へと木々を薙ぎ倒しながら入っていった。
すっかり無人となって静まり返る祠。
すると月夜兎が何事もなかったようにケロッとした顔をして立ち上がった。
その手には『龍族・竜族との接し方』という黒い表紙の本があり、『龍族も竜族も自分が信用に値すると判断した相手の言うことならば、どんな内容であろうとも信じて疑わない』と書かれているページを開いていた。

「計画通り」

とても神様とは思えないような邪悪な笑みを浮かべつつ、呟く月夜兎であった。



<2011/12/05 22:59 とんこつ>消しゴム
|<< < 2 / 7 >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b