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【保】神々の戯れ − 旧・小説投稿所A

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【保】神々の戯れ

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コロコロと舌の上を転がされること約5分。
不意に舌の動きが止まった。

「ひぇっ、ほうひょっひょへいほうひへふへはほうははへほはへはふほひ。はあいいは、ほひほんはひょ(訳・ちぇっ、もうちょっと抵抗してくれたほうが食べ応えがあるのに。まあいいや、飲み込んじゃお)」

水神はぐっと頭を上げた。
半ば意識が混濁していた月夜兎はそのままポッカリと開いた大穴へと落ちていった。
食道を揉まれるようにしてゆっくりと下っていく。
そしてとうとう胃の中へ運ばれてしまった。

「うぐっ!」

月夜兎は胃へ落ちた衝撃と、左足が何らかの液体に突っ込んだ感覚により、意識が覚醒した。

「うえー、ここって胃だよな?だとするとこの独特の匂いは胃液?」

月夜兎は洞窟でしたように光の球を作り出した。

「ありゃま、左足が溶けてるわ。どんだけ強力な胃液なんだよ」

左足が突っ込んだ液体というのは、どうやら胃液だったようだ。
体の一部が溶けているというのに、月夜兎はいたって呑気だった。

「ま、体なんざあとで再構築すればいいだけの話だし。それよりもせっかくここに来たんだから、あれを楽しむか」

月夜兎は溶けていない右足を使ってピョンと跳ねると、背中から胃壁へと飛び込んだ。

「あー、フカフカで気持ちいい。この感触は水神の胃壁でしか感じられないんだよなぁ。静かだし、寝心地はサイコーだし、ここを寝床にしたいもんだよ」

その時、水滴が月夜兎の頬の上に落ちてきた。

「……まあここはあくまでも水神の胃の中ってことが悔やまれるなぁ」

どこからともなく胃液が湧き出てきて、胃自体も動き始めた。
月夜兎の体は胃液の中へドブンと浸かり、瞬く間にドロドロに消化されていった。



<2011/12/05 22:46 とんこつ>消しゴム
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