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バベルの塔 − 旧・小説投稿所A
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バベルの塔
− 光射す未来 −
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「ほう…君かね、レヴァ元社長を殺した張本人は」

「…あ…?」


感染した社員でごった返す廊下を駆け抜けるバビロン。
ふと、天井に設置されている巨大モニターが話しかけて来た。
新社長、ブースだった。


「何の用だか知らないが….そこで待っていろ。すぐ迎えに行ってやる」

「おお恐ろしい…これだから試作機は信用ならないのだ」

「ならお前か? その試作機(私)の設計者は」

「いいや…? バビロンシリーズの功績者、ファモールは既に死んでいる。
それも何の因果か知らないが、君を製品化した直後にね」


自分の設計者が死んだというのに、微塵も悲しくない。

いや、むしろ喜ばしい程だった。
そもそも彼に復讐を晴らすため、バビロンはここに乗り込んだのだ。



「…つまり君の目的は、君が生まれた瞬間にもう達成されている。
これ以上、ウィルスだらけの我が社に立ち入る意味は無いと思うが…?」


愚者を嘲笑うような目つきで、バビロンを天井から見下ろすブース。

しかし次の瞬間、そのバカでかい液晶画面に閃光が走ったかと思う
と、ブースの顔は粉々に砕け散っていた。バビロンが怒りを露わに
し、モニターを粉砕したのだ。



「ここを壊すか壊さないかは私の勝手。ここから逃げるか逃げ
ないかは貴様の勝手さ。そして……」







「言い忘れていたが….私はこのビルの柱一本、見逃したりはし
ない。覚えておけ」


パラパラに飛び散ったモニターの破片を、冷ややかな視線で一瞥する。
そして身の丈よりも大きな翼を広げ、バビロンは廊下を直進していった。









ザァァァァァァァァァ……!!

「しゃ…社長…」

「フフフ….」


砂嵐しか映らなくなったモニターを前に、息を詰まらせて笑うブース。
彼の右手には吸い尽くした葉巻、そして胸に輝いている「星」と同じ、
黄金色のメモリが握られていた。



「ハッハッハ……おい、幹部一同に伝えろ。侵入者バビロンは殺さず、生け捕りにして社長室へ連れて来い、とな」

「わ…分かりました……」

「ククッ……いやいや全く面白い…」



当然、逃げるなどという臆病な考えはカケラも無い。
わざわざ出向き、直接バビロンと対峙する気も無い。


ただ…どうしようも無く面白かった。









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「これが….バイオリック社……」

「想像以上の大きさですね。流石は一流企業というか……」


「そんなの関係ないよ。そこの看板を墓標にしてあげるからね…へへッ♪」

「マ、マスター……兄さんが…」

「ああ….今日は本気だぞコイツ…」



「まあ、こんな遠目に見ていても仕方ありません。
もっと近づいてから策でも練りますか」


先陣きって進んでいくラティオスに賛同し、カイオーガはヒレをコキッと
鳴らした。ロンギヌスも彼らに続こうとしたが、家電店のショーウィンド
ウに飾ってあるテレビに視線が行ってしまう。本社が1キロと離れていな
いのに、皮肉にもバイオリック社のコマーシャルだった。





『科学万能のこの時代、あなたが乗り遅れていませんか?
日進月歩する私達バイオリック社と、ともに光さす未来を掴みましょう!
いずれ来たる、22世紀への挑戦を!』

「・・・・・」



「マスター!? 置いてくよ〜!!?」

「…あ、うん……」





<2011/10/17 18:09 ロンギヌス>消しゴム
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