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バベルの塔 − 旧・小説投稿所A

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バベルの塔
− 欲 −
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「さあ、行くぞギラティナ。私達も会長室へ」

「…..ふふ…ちょっと待ってくれる? いや、先に行っててくれたら嬉しいかな」

「?」


ルギアは一瞬戸惑いの色を見せたが、すぐにああそうかと納得した。
ゲーチスを食したこの部屋の隅に、まだ一人だけ残っている。
すなわち彼らに倒されもせず、食われもせず、ただ震えているだけの男が。

ルギアはその男の始末をギラティナに任せ、一足先に大富豪勝負が繰り広げられている会長室へ向かった。



「ハハ…..そうやって『社員A』のふりをしてれば助かる、とでも思っていたのかい?」

「あッ…..く…そんな…..」

ギラティナは興味深いオモチャを見つけた子供のように、クスクス笑いながら男との距離を詰めていく。

この瞬間こそ男にとってはまさに恐怖。
悪魔が自分をみつけ、そして一秒刻みで迫ってくる恐怖。
それから逃れようと後ずさりしても、既に背中は限界まで壁にくっついている。
ギラティナが目前にまで近づくまでの間、男はバタバタと虚しく脚を動かすだけだった。



「…でも残念ながら…..僕ワ脇役こそ大事だと思うんだよねぇ…..」

「あ….ハァ….....ぅ….」


上目遣いでしか顔が見えないほどに接近され、ハァァッという響きと一緒に降ってくる温風。
そのちょっぴり血生臭い風を受けて、男は顔面蒼白になるのを感じた。


「さあぁ….どぅしてほしい? 頭を引っこ抜いてあげようか。それとも腕だけ貰って帰ろうかな?」

「あッ…....う、うぅ…ッ…!!」

「人間は、自分達には鳴き声がない、動物だけのものだと思ってる。そんなの大間違いだよ…....」

「・・・・・」

「…..ねぇ? いっぱい聞かせてくれるよね?」

「…フグッ…むぶぅぅぅッ!!!」


ギラティナはドス黒い六本の触手を巧みに動かし、いとも簡単に男を絡め取った。
六匹の大蛇に捕らえられたアヒルのように、男は服の中をもぞもぞと這い回る触手の不快感を露わにする。


「ひひ…..「僕と遊んでください」って言ったら言うこと聞いてあげるよ…?」

「僕と遊んでくださ…..いいッ!!!??」

「え、何がいいの?」


シュルシュルと高速で地肌を這ってくる触手。
そのぐすぐったいとも心地良いともつかない感覚に、男は口を閉ざした。
口を閉ざし、涙ぐみながら必死に猛攻を耐える。


「くぅッ….は、はぅぃ…..んあ…」

「そんなに喘がないでよ。言いたいこと、ないの?」

「…んぉ…..ぼ、僕と遊んでくだ….ひぃあ!! くださ…..ふぅぇっ….ぐぐぅ…..くださいぃ…!!」


全身をいじくり回される羞恥に涙を垂れ流し、男はようやく定型文を言い終えた。


「ど、どうだ言ったろ….!!? さっさと離せこの化け物….」

「フフ….酷い口だなぁ。でもせっかく言ってくれたんだから言うとおりにしないとね」

「…...じゃあ….....」

「….僕と遊んでほしいんでしょ? だから叶えてあげるよ、君の願い」


男の願った未来は粉々に砕け散った。
ギラティナは長い舌をにゅるんと垂らし、猶予の欠片も与えないまま男の口に押し込んだ。
男の口内は、あっという間にピンクの肉質で埋まる。


「んっ….ふんむぅぅぅぅ!!」

「へへ…...ウマイだろぉ?」


どぷどぷと分泌される唾液を、呻きや悲鳴と一緒に飲まされる。
幾多もの肉をしゃぶってきたであろう、生臭い唾液だった。
辛うじて鼻で呼吸を保っているが、与えてもらえる酸素も雀の涙。
そして・・・・






「さーて大サービスだ」

「!!!? ぁぁ…....ぁッ、ぁ…..」


悲鳴を出したつもりでも、口から飛び出すのは微かな「ぁ」だけ。
それも至極当然。
ついにギラティナが舌を男の食道にまで侵入させ、無理やり呑み込ませていたのだ。&#160;

巨大な肉の塊がメリメリと食道を押し広げて入ってくる。
もはや「呼吸」などという行為は高嶺の花。
全身がほんの僅かな空気を求めて、時折ビックンと飛び跳ねる。


「ハハッ…コイキングみたい。ビクンってしちゃう程気持ちいいのかな?」

「…........ぁ、ガハッ…....ご…」


飲みきれない唾液が口元から溢れている様子は、まさに滑稽としか言いようがない。

そんな唾液を潤滑剤にしてか、舌は驚くほどスムーズに男の体内に入っていった。
ギラティナは先に2メートルほど舌を伸ばしていた。

窒息寸前の男には、それがトンネルに入る順番を待っている行列に見えた。


「ほぉら、遠慮せずにどんどん呑んでよ。いくらでも用意してあげるからさ…..」

「…...んっく….んっく….んっ….」


もうさっきのように、壁を背に体操座りできる状態ではない。
男はもはや完全に仰向けに寝転がされ、ビクンビクンと壊れた人形のように全身を震わせていた。
ただギラティナの唾液を呑むために、喉だけはしっかりと間隔を守って動いていた。




ーーー


「あ….ここが君の胃袋かい?」

「・・・・・・・」

「おーい」

「・・・・・・・」

「ありゃりゃ、気絶しちゃったよ….」


舌先が男の噴門を押し広げた直後、男はクッと言ってそれきり動かなくなった。

流石に失神した獲物に興味はないようで、ギラティナはシュルシュルと舌を引き戻した。
先端には男の胃液らしき液体も付いていたが、気づく素振りさえ見せず口に収める。



「それじゃあね。食べないだけ感謝してよ?」

「・・・・・」


口元に光っていた涎をジュルルッと啜り、酒に酔ったような満足感に浸りながら部屋を後にする。





カードゲームの合間がこれかよw
<2011/12/15 21:23 ロンギヌス>
消しゴム
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