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rain tears -心の涙- − 旧・小説投稿所A

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rain tears -心の涙-
− 魔術師たる所以 −
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「ば、化け物……」

「に、逃げるなっ!」

それに恐怖と絶望を煽られ、逃げ出してしまう。

これで五人は一人に。

「残すは……お前独りか」

ジュルリと見せつけるように舐めずる。

「く、来るな……」

自分の力量と私とを対して比べずに、

私を討伐しようとする馬鹿な人間は好きだ。

あしらえば、あしらうほど味が出る。

「今宵の晩餐はお前にしようか」

呼吸を整え、身体の奥に問いかける。


封じている魔力を解放する。

「っう……グルルルゥ」


獣人である姿を狼に転身する。

海を想像させる鮮やかな狼に。

横溢する魔力はオーラのように。

「人喰い狼魔女っ!」

「……ほぅ、その名を口にするか」


特にその名が嫌いとは言わないが、良い気はしない。

できれば聴きたくはない。

そいつを押し倒し、その右肩に前足を振り下ろす。

「っぎゃぁぁぁ!? っんぶ……」

軽く、本当に軽く骨は砕け散った。

男が悲鳴を零す。

それを黙らせるように顔をじっくりと舐め上げた。

人間を喰い慣れた舌が味を吟味する。

「普通だな」

さて、周りに邪魔者はいない。

晩餐を楽しむとしよう。



<2011/09/01 21:47 セイル>消しゴム
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