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冷たい空と暖かい太陽 − 旧・小説投稿所A
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冷たい空と暖かい太陽

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「ゴホッ! うぇ……」

 呼吸をすると、その生臭い臭いが肺を刺激する

 満足に息をする事もできないまま、僕は舌の動きに合わせて、体を転がされた
 するとさらに体に液体がまとわり、絡みつく

「んぐっ……お前、なかなか、良い味をしているな」

 ぽっかりと開いた口の奥にある、暗い穴からルギア様の声が聞こえてきた

「う、ル……ルギア様、嘘ですよね? まさか、僕を本当に食べるなんて……うわっ!」

 最後まで言い終わる前に、ルギア様の舌が持ち上がり、僕の体は重力に従って、ズルズルと口の奥へと滑り落ちていく

「ん? 喰うに決まってるであろう? こんな旨いものを手放す訳があるまい」

クククッと喉で笑うと、更に舌の角度は上がり、落ちる速さはさっきよりも速くなる

「い、いやだ! まだ死にたくない! 誰か!たす……」

 そこまで言った瞬間、ルギア様は勢いよく頭を振り上げた

 その拍子に、僕の手は舌から離れ、口の中で宙に浮いたかと思うと、まっ逆さまに、真っ暗な奈落の底へと、吸い込まれていった

「うっ、うわああああ!」
“ゴグリ……”

そんな鈍い音と共に、僕は『神』に飲み込まれた




 あんなに大きかった身体でも、喉の中は狭く、僕はムッチリとした肉壁に圧迫されながら、ゆっくりとルギア様の飢えた腹の奥へと運ばれていく

 その肉壁に隙間なく、ぴっとりとついた耳には、『トクン……トクン』と、規則正しく脈を打つ音が聴こえる

 顔もその肉壁に押しつけられているために、うまく呼吸することもできない

 そしてしばらくすると、僕の体は細い道から吐き出され、大きな空間に飛び出した

「ぷぁ! ゲホッ……うぅ……」

 狭いところから抜け出し、ようやく息が吸えたと思ったら、そのたまらない悪臭におもわずむせてしまっていた

「ハァ、ハァ……ここは」
尻尾の光を使って、辺りがどんな風になっているのかを見ることができた

 恐らく、ここがルギア様の胃袋の中なのだろう

 心臓が波打つリズムに合わせて、周りの壁が脈を打っている

 ジメジメと蒸し暑く、外の寒さとは反対に、額に汗をかいていた

 さらに地面はさっきの舌の上の比ではないほどに柔らかく、ズブズブと足が完全に埋まってしまうほどだった

「ぼ、僕は……ほんとに、食べられちゃったんだ……」

 目からは、溢れんばかりの涙が流れだし、僕はその場にうずくまる

 


<2011/07/20 23:00 ルカ>消しゴム
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