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冷たい空と暖かい太陽 − 旧・小説投稿所A
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冷たい空と暖かい太陽

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 ある朝目を覚ますと、冷たい風が、僕の頬をかすめた

 季節は冬。いくら炎タイプだからって、『寒い』とは何ぞや? と言えるほど、強い訳ではない

 毛布にくるまったまま、僕は時計を見る

 長い針は五時を示していた

 特にすることもないので、二度寝しようとしたその時、

“ウゥゥーッ!”

 と、聞き慣れたサイレンが、爆音の如く耳に飛び込んできた

(……またか……)

 そう思い、暖かい毛布の中から這い出て、身支度をする

 僕が住んでいるこの村には、せいぜい五百人くらいの人数しかいないような、小さな村である

 村人全員、あまり贅沢な生活を送ることはできないが、それでも雰囲気は凄い明るい。そこが、僕は気に入っている


 そんな村に最近、自分の事を、『神』と自称するポケモンが現れ、週に三度、ソイツに貢ぎ物を献上しなくてはならなくなってしまったのだ

 その貢ぎ物を献上する、哀れな当番に、僕はなってしまった

 とは言ったものの、週で交代する制度だから、あまり苦ではないはずだ……

 そう思って、冷たい冬の朝へと、僕は飛び出した



 外は思っていたよりも寒く、僕は首に巻いたマフラーを握りながら、とりあえず村長の家へ向かった

 村長の家に着いた僕は、改めて大きな家だなと感じた

 レンガ造りでいかにも暖かそうな家の煙突からは、真っ白な煙が立ち上っている

 その家の立派な扉を乱暴に叩いて、僕は言った

「村長! ヒトカゲです。貢ぎ物を受け取りに来ました!」

 耳の悪い村長に聴こえるように、僕は大きな声を張り上げた

 しばらくすると、扉がゆっくりと開かれ、その小さな扉の間から、ニュッと薄い皮の手が現れたかと思うと、真っ白な雪の上に、ドサッと木の箱が乱暴に置かれた

 そうすると、寒いと感じたのか、僕に顔を見せることもなく、扉は閉められてしまった

「……ハァ……」

 相変わらずの村長のいい加減さにため息をつきながら、僕は木箱を持ち上げる
 思ったよりも軽かったのは、季節的にも、献上できる量が少ないためだろう

 軽い木箱を両手に抱えて、僕は村を後にした

早くも手がかじかんできて、赤くなっていた



 その神様とやらが来る場所は、そう遠くなかった

 歩き続けて約十分、僕は海の見える丘に着いた


<2011/07/20 22:44 ルカ>消しゴム
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