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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 束の間の休息、そして… −
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「えー…考えなきゃいけない事が3つある。」

半壊状態のリビングに腰を下ろし、真剣な目つきで話し合いを始め
るロンギヌス。メモリケースを中心に置き、レムリア、ラティオスと円
になって座っていた。


「一つ、カイオーガの奪回について。」

「すみません…私があの時油断しなければ…」

「…あなたのせいじゃないわ。むしろ命懸けで護ってくれて…ありがとう♪」

責任を重く受け止めるラティオスに対し、レムリアは慰めと感謝を
述べた。その甲斐あって、彼の表情が少し穏やかになる。


「二つ、T4メモリ設計図とレムリアについて。」

「マスター…本心を教えて下さい。
レムリアさんと兄さん、どっちが大切なんですか?」

「………それは…」

今後の運命を決める問いかけに、レムリアは息を呑んだ。ロンギヌスが何の作戦も思いつかなければ、彼女はカイオーガと交換で引き渡される身なのだ。そしてバイオリック社に連行され……その先何が待ち受けているかなど、見当もつかない。


「それに答えはないよ。どっちも仲間で友達で…俺の宝物だ。
もちろんラティオス、お前もな。」

二匹の顔に微笑みが戻ったことで、この答えは間違いでなかったとロンギヌスは確信できた。最高級の同じダイヤを並べて、どちらに価値があるか決めるようなものだ。



「三つ、今日の夕食は出前を頼ん…」

ドギャ!! バギ!! グキャ!! ゴキ!! ドガドガドガドガドガ!!!
シュウウゥゥ…

ロンギヌスの顔に真空跳び膝蹴りとサイコキネシスが直撃し、彼を吹き飛ばした。



「す…すびばへん…」

「本来なら…骨折程度じゃ済ましませんがね。」

「全くもう…時と場所を考えてものを言いなさい!!」

母親から叱られる子供のように、ロンギヌスは小さく縮こまっていた。ラティオスは主人の自由すぎる振る舞いに肩を落とし、ゆくゆくの将来に不安を感じる。

「呑気に暮らすのもいいですけどね…あと三時間で誰かが死ぬかもしれないんですよ?」

「し、失敬な…!! 俺だって常に物事を考えて行動し、秩序と正確性に長けた思考を…」

「レムリアさん、ベル○ニー会館に連絡しておいてもらえますか?」

「フフ…チャンピオンの葬儀は盛大にやらなくちゃね…」

「俺が死ぬのかよ!!」


しかし冗談が本気に聞こえる会話の中で、ロンギヌスは妙な虚しさを感じていた。今、このリーグのどこかで監禁されているカイオーガを思うと、流石に彼も申し訳なさが身に染みた。というよりカイオーガ無しで会話が成り立っていること自体、奇跡的かもしれない。



「まあカイオーガの救出に関して…一応だけど作戦はあるぞ。」

「…え!?」

「何でそれを先に言わないんですか…この10分間、私たち何やってたんですかね?」

「全くだわ…頭が痛い…」

「いいから!! とにかく内容を聞けよ…」

レムリアの溜め息を無視し、ロンギヌスはバシッと言い放った。すっ
かり存在感が薄くなっているメモリケースを叩き開け、一途の望みを賭けて作戦を発表する。






===========




「ん…んぅ…?」

「お目覚めか? ちょっと縛らせてもらったぞ。」

フラフラと歪む意識の中で、カイオーガは両ヒレが背中でお縄になって
いるのに気づいた。固く拘束されたそれを解こうと悶えるが、もちろん
縄もバイオリック製…そう簡単にはいかない。

「卑怯だよ…人質使うなんて…」

「目的の為には手段を選ばない…それが俺の知能の核とも言える言葉だ。」

バビロンは冷めた口調でそう言うと、手ぐすね引いてカイオーガに一歩一歩
近づいた。身の危険を感じ、何とか後ずさりしようとするカイオーガ。その
見え透いた恐怖に怯える姿を、バビロンは鬼畜な目で見下ろしていた。


「約束の時間まであと三時間はある。
それまで少し…遊ばせてもらうとしよう…」

ガクリと膝をつき、自分の欲求に素直になる。
カイオーガの胸に肘を置き、闇に目立つ舌を出す。
彼の狙いは、4億の懸賞首の味…ぬめる舌を白く膨らんだ腹に押し当て、ゾロリと這わせた。


「んっ…あっ…」

「フフ…気持ち良いのか? 理解し難い感情だ…」

「うぅ…君の部下達、吐き出すからやめてくれない?」

「ああ…こいつらか?」

カイオーガの胃袋辺りを正確に撫で回すバビロン。呑み込まれた自分の
部下を、笑いながら悼む。そしてその不要な部下に対する扱いは、まさ
に悪魔だった。



「別に消化してもらって結構だ….いや、むしろそうしてくれ。
いても役に立たない…邪魔なだけだ。」

ポコポコと無意味に胃壁を叩く部下を、
バビロンは汚いものでも見るように目を細めた。


<2011/06/04 23:09 ロンギヌス>消しゴム
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