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幼さ故に − 旧・小説投稿所A

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幼さ故に

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「佐藤警部補殿、こちらですよ」

隣にいた白衣を着た男性、平沢生物研究所の責任者である平沢博士が目の前にあるドアを指差した。
この先に、警察庁と警視庁の合同極秘プロジェクトによって産み出された合成獣『コタロウ』がいるのか。

「特殊生物3課の隊長“補佐”としてお聞きしたいのですが、順調にコタロウは育っているんですか?」

「ええ、もちろん。佐藤警部補殿も知ってはいると思いますが、明日はコタロウを初めて外に出すことになっています。いやぁ、もうすぐコタロウが独り立ちするかと思うと嬉しい反面、どこか寂しいですな」

平沢博士は悲しそうな表情になった。
そりゃ手塩にかけて育ててきたわけだからなぁ、と私は思った。

「ところで現段階でコタロウはどの程度の知能を持っているんですか?」

「そうですねぇ。学力面に限って言うなら中学修了程度はありますね。ただ精神面は小学校低学年から中学年レベルと思われます」

合成獣に人間の教育学が通用するか分からないが、レディネスとか臨界期とか無視されちゃってるっぽいな。
まあ致し方ないが。

「とにかく百聞は一見にしかずですよ」

平沢博士は扉にカードキーを通すと、自動的に開いた。
研究室は意外に狭く、研究者も数人程度しかいない。
そんな中でひときわ存在感を放っていたのが、研究室中央にある円筒形のガラス容器であった。
そしてその中に、コタロウはいた。
がっしりとした筋肉質な体、それを覆う緑色の鱗、恐竜のような顔つき、背中にあるコウモリのような翼……。

「まるでドラゴンみたいだな……」

私はポツリと正直な感想をもらした。

「コタロウ、こちらは君の上司になる佐藤警部補だよ」

平沢博士がガラス容器の中にいるコタロウに呼びかけると、コタロウは目を見開いて私のことを見据えてきた。

「いかがですか」

「正直まるでSFモノの世界に迷い込んだ気分ですよ。ところでコタロウはまだ成長期の途中なんですよね?」

念のために私は平沢博士に聞いてみた。
パッと見た感じ、コタロウの体長は120センチほどしかなかった。
いかに見た目が迫力があろうとも、これでは全体的な迫力不足感は否めない。

「そりゃもちろん。あと半年もすれば2メートル、来年には3メートルになってますよ。なんでしたら成長促進剤を投与しますよ。おーい、成長促進剤投与しておいてくれ」

平沢博士は部下にそう命じた。

「では私はそろそろ失礼します。コタロウ、また明日」

私はそう言って、研究室を後にした。



次はコタロウ視点に戻ります。
<2011/07/10 11:32 とんこつ>
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