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【保】OUT OF THE ISLAND − 旧・小説投稿所A

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【保】OUT OF THE ISLAND

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ニチュ・・・・グチュゥ・・ゴクン!
完全に飲み込まれた。真っ暗で何も見えない。ただ、そこは窮屈で体が締め付けられてネトネトとした大蛇の体液が分泌されていた。
グニュ・・・ムチュ・・グチョ・・・・・
呼吸が存分にできない。
早くしなければこっちが気絶して大蛇の血肉となってしまう。
俺は最後の攻撃の実行に移った。ナイフを両手で持ち、思いっきり突き立てる。(これなら・・どうだ!)
《・・・ブッ・・・・グザ・・》
大蛇の腹の中でナイフが刺さった。さらに力を込めて刺す。
《ズズ・・・グボ!》
手応えを感じた。貫通したらしい。硬い鱗は外側からの攻撃は防げても内側からは防げなかったようだ。
ナイフを刺したまま切り開いていく。
大蛇が暴れ出した。異変に気がついたのだろう。しかしもう遅い。
《グイ・・・ズバァ!》
大きく切り開いた。かなり血が出ている。切り開いた穴から脱出する。
ズリ・・・ドチャァ・・
「・・はぁ・・・はぁ・・俺の・・・・勝ちみたいだな・・・」
傷口から大量に出血しているため段々と大蛇の動きが鈍くなっている、そしてついに、
ズズ・・・・ズシャ・・・
大蛇がほとんど動かなくなった。俺は急いでエリルを助け出すために駆け寄る。
腹を思いっきり切り開く。エリルが見えた。すぐに引き出して脈を調べる。
・・・トクン・・・トクン・・・・
エリルは生きていた。気絶していてかなり弱っているようだ。
とにかく、何かないかと探し回ると、使えそうなものが一つあった。
携帯型酸素ボンベだ。それをエリルにくわえさせ、効率好く肺に酸素を送り込む。
『・・グフッ!ゲホッ・・・ゲホッ・・うぅ。』
「おい!大丈夫か!目を覚ませ!」

必死に声を掛け続ける。
「聞こえてるか!しっかりしろ!エリル!!」
『シ・・ルバ・・・』
気がついたようだ。安心してホッとする。
「大丈夫か。怪我してないか、心配したぞ」
『大蛇は・・・?それに私、食べられたんじゃ・・・・』
「安心しろ。蛇は俺が倒した。それに、二人とも生きてる」
ハッとした顔をしてエリルが起き上がった。
そして、こっちを向いて
《パチーン!》
一瞬何が起こったか分からなかったが、すぐに気付く。
「痛ッテ!殴ることないだろ!」
『何で逃げなかったのよ!』
思いっきりビンタされた。
「何でって、言わなくても分かるだろ」
『逃げなかったら死んでたかもし・・』
「助けたかったんだ!!!」

『・・・・・・』
「・・・・・・」

『・・・グス・・・・』
「な、なに泣いてんだよ」
エリルはいきなり泣き出して、突然俺に抱き付いてきた。
『・・・グスン・・・・泣いてなんかないわよ・・』
「わかったわかった、さっ!ベースキャンプまで帰ろう」
『そうね・・・』

――――――――――
その後、
ベースキャンプまで戻った俺達はこの島を出る準備を整えた。
昼になり、迎えの船がきた。

「おーい!こっちだ!」

『やっと、帰れるのね』

「そうだ。それにしても疲れたぜ・・・」

船に乗り込み、島をあとにする。

『シルバ、一つ聞いていい?』

「どうした」

『今さらだけど、何で命をかけてまで私を助けたの?』

「それは・・・・・・」

『何?』

「・・・俺だからだ!・・ハハッ」
『なにそれ、変なの。まっありがとね』

「当然のことだ気にするな」

こんな会話が続き、やっと港まで帰ってきた。
こうして、長い3日間は終わり、島から脱出した。

「エリルはこれからどうするんだ?」

『本部に戻ってブリーフィングを済ませた後、あんなとこやめてやるわ』

「そうか、元気でな」

『シルバもね。』

「それじゃ、ここでお別れだ」

『えぇ・・・。いつかまた会いましょう』

「もちろんだ。じゃあな」
俺は振り向かず、真っ直ぐに家へ帰った。


OUT OF THE ISLAND

〜END〜


<2011/07/01 21:27 W.WOLF>消しゴム
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