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【保】迷い人 − 旧・小説投稿所A
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【保】迷い人

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『ありがとう…シィナは料理がうまいな…』

シィナの出してくれた料理はどれも美味しい…だが今まで食べたことのない食材ばかりだな…なんだこの蛇のように動く果実は…

『えへへ〜お兄ちゃんも美味しいって言ってたから孤人さんも美味しいって言ってくれると思ってたもん!』

シィナは椅子を使って台所にやっと立っている…
その体長に合わないぶかぶかなエプロンを着ながら…

『じゃあ…そろそろ行ってくる…』

そう言い僕は山鉈を担いだ…重量は20kgはあるな…

『うん♪いってらっしゃい〜お兄ちゃん♪…あっ』
『ん…?』

癖なのか…それともわざとなのか分からないが…どうやら僕のことを兄と言い間違えたようだ…

『ごめんなさぃ…』
『あぁ…シィナ行ってくるよ…』

シィナのフサフサした頭を軽く撫でてあげた…撫でられると目を瞑り気持ちよさそうに耳をピクピクさせている…可愛いな

『ありがとぉ…孤人さん…がんばってね…?』
『あぁ…』

僕は玄関のドアを開け木の通路を進みこの隠れ里の構造や設備をチェックすることにした…最初に1階から見て回る…住居以外

『あれはなんだ…?』

ここに来てから気になったが…広い施設や広場では照明代わりに光の玉が宙に浮いている…

『あれはランプマナよ?』

と近くを通る獣人が説明してくれた…

『ランプマナ…?魔法かなんかか…?』
『魔法よ?でも狐族が激減してて…時間がたったら火で照明を保つしかないわ…』
『ここの照明のほかに魔法で保ってることは…?』
『そうね…照明の他に侵入者の感知や撃退もしてるから…狐族がいなくなったら…怖いわ…』

ここの防衛や設備のほとんどはどうやら…狐族が管理しているようだ…しかしなぜ激減してるのだろうか…

『狐族の居住区は何処かな…?』
『あそこは神聖な場所だから…私達も入れないわよ?』
『場所を教えてほしい…一刻を争う…』

真面目な表情でその獣人に言う…

『えっと…この巨木の天井より上ね…』
『ありがとう…』

やや慌てて場所を教えてもらうと小走りで階段を登っていく…

『待った!君…ここから先は立ち入り禁止だよ?』

天井に続く階段の途中でやや尻尾が長い狐族らしい獣人が道を塞ぐ…

『あの…あなたたち狐族の激減について聞かせてほしいのだが…』
『君は…我々の長が連れてきた孤人か…?なぜそんなことを聞くのかしら?』
『何か恩返しができればと思って…僕に役立てることがあればいいけど…』

夢のことは今は隠しておこう…下手に言えば混乱を招く…

『それなら…まず私達狐族はマナがないと生きていけないの…』
『…狐族の大半がマナ不足なのか?』
『そうね…今狐族のほとんどがマナを失って危険な状態なの…場合によっては死ぬわ…』

どうやら…この状況で襲われでもすれば確実に隠れ里は落城されるな…

『マナを補給できる物があるのか…?』
『あるにはあるわ…ここから東にあるマナの魔木という木からマナの種がたくさんあれば…でもあそこには『魔喰らいの精霊』がいるのよ…狐族が10人いないと勝てないわ…』

魔喰らいの精霊…どうやら相当の相手のようだが…このままにすれば最悪の事態が考えれる…

『僕が取ってこよう…』
『え?!自殺行為だわ…』
『だがこのままにすれば確実に危険だ…僕が行こう…』

そう言い僕は来た道を戻っていく…僕を止めた狐族は心配そうな表情で見ていた…

『ここの出口はどこですか…?』
『そこの壁を通ればいいがどこかに行くのか?』
『マナの魔木に行ってきます…』
『あんた正気か?!あそこには魔喰らいの精霊がいるんだぞ!』

どうやら…そうとうやばい生き物なのか…?

『その魔喰らいの精霊は…物理攻撃は通じるのか?』
『通じるが…その前に吸い込まれちまうぞ?』

吸い込まれる…?

『策はある…行ってきます』

そう言い僕は壁をすり抜け東の森へ向かった…

『…あれがマナの魔木か?』

2kmほど歩いたところに他の木と違う感じがする木を見つけた…例の魔喰らいの精霊とやらが見当たらないが…

『何もなければいいが…』

慎重にマナの魔木に近づく…周りは泉になっていて所々に蔦が垂れ下がり不思議な匂いがする…

『…!』

何かの気配に気づき僕はとっさに…

Aその場から避けた >>21

B剣で防いだ >>22



<2011/11/24 00:07 狐人>消しゴム
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