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【保】SPEC − 旧・小説投稿所A

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【保】SPEC

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客は、五木谷春樹。36歳のタレント代議士である。

野「五木谷先生のお姿は、いつもTVで拝見しております。」
野々村が言うと五木谷は応接コーナーのソファにふんぞり返り、フンと鼻を鳴らした。不機嫌を隠そうともしない。

脇「私、秘書の脇と申します」
誠実な男だが、年代がさっぱり分からない。まさかと思うが、やはり分からない。そんな脇が名刺を差し出した。
[正義党代議士五木谷春樹事務所 第一秘書 脇智宏]と書いてあってもちろん年は書いていない。

脇「こう見えて40前半なんですよ」
自慢かい。

野「それで、有名な代議士先生が、私どもにどういったご相談でしょう?」




五「たらい回しにされる度に、いちいち説明しなきゃならないの」

脇「先生、私から、、、」

脇「実は、先生が懇意にしている冷泉俊明という占いの先生が嫌な予言をしまして」

野「嫌な、、、、」

当「予言、、、!」クククと笑い、するすると五木谷たちの正面に座った。

脇「実は明日、五本谷グループ創立15周年を記念してパーティーを開くことになっているんですが、冷泉先生によりますとそのときに、、、、」

五「私が殺されると言うんですよ」

野「え!」

五「殺されたくなければ、2億円払えと言ってるんだ」

当「2億円!何で占い師が?」

脇「そうすれば、未来を変える方法を教える、とか」

野「それはまた、随分とインチキな占い師ですな」と苦笑

五「いや。それが困ったことに、、、、冷泉先生は、本物なんだよ」




五「これまで何度、あいつの言う通りにして、助かったか」

当「だったら2億位出せばいいんじゃ。資産400億近くもお持ちのようですし」

脇「いや。しかしいくら何でも、常識的に考えて、占いで2億払うというのは、、、」

野「御尤も(ごもつとも)」

瀬「ならパーティー延期したらどうですか?」
すると脇が困惑顔で

脇「政財界の実力者や各界の著名人を大勢お招きしてしまった手前、占い師に言われたからと言って、今更取りやめるわけにも」

瀬「なんだそれ」
五木谷がムッとしているのを見てとった野々村は、慌てて
野「わかります」とフォローを入れた。



五「だいたいね、そんな不吉な予言で、私から金を搾り取ろうとする冷泉がけしらんのですよ。
  長年の友人だと思ってたのに。これじゃまるで恐喝だ」

確かに、と当麻と野々村がうなずく。

脇「そこで、金曜日のパーティーで、先生にSPをつけて頂きたいんです」

野「しかし、占い師がそう言ったからSPをつけろと言うのはいささか大袈裟と言いますか、、、、」

五「私が毎年いくら税金を納めてると思ってるんだ。4億だよ、4億」

当「4億も。お気の毒。ククク」

五「何だと!!」

野「当麻君」
野々村は冷や汗のかき通しである。



脇「五木谷先生は一応国会議員ですし、テロの可能性もあります。
  なのに警備部へ行ったら、予言とか占いが絡む事件は未詳で扱うと言われて来たんです。
  もし、先生にもしものことがあったら日本の損失ですよ!いっそ、警視総監に直接お願いした方がいいですかね」

野「いやいや大丈夫。わかりました、わかりました。男.野々村、身と賭して善処します」
大げさな。瀬文が呆れていると、気の毒そうな声が聞こえてきた。

店親「大変だね。公務員は」
椅子に座り、のんびり煙草をふかしている。

当「まだいたの」
、、、、、、、

?「バカだなぁ。そっちの情報は筒抜けなんだよ。ククク、、、、」
と警視庁から10km近く離れている刑務所の牢屋の中で一人不気味に、笑っていた。


<2011/06/21 22:23 m.t spec>消しゴム
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