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雷鳴の閃光 − 旧・小説投稿所A
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雷鳴の閃光

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ジンオウガが発したもの。
単語だけを紡ぎあわせた言葉だった。
血の涎を滴らせたまま、その瞳は私を捉えて離さない。
「女・・殺気・・ない・・」
ジンオウガは私に被さったまま動こうとはしない。
何かに迷っているとはいえ危険なことには変わりない。
しかし、体はジンオウガの下敷きになり、身動き一つ取れないでいた。
「どうしたの?そんな・・表情・・・」
張りつめていた気が抜け、その表情は崩れていた。
疑問に思った私は無意識にそう口を開いていた。
言葉が通じるならどうにか説得すれば助かるかもしれない
「生物・・逃げる・・自分・・一人・・」
肩も尾も元気なく垂れ、その酷さは悟った。
ジンオウガはその存在故に、他生物は獣の本能が彼を避けているのだ。そういうつもりが無くとも常に孤独を味わう事になる。
いくらモンスターとはいえ、彼も生きているのだから。
「・・辛かったね・・」
私も表情を崩し、その頬に優しく手を差し伸べて・・
ーグルルルッ!ー
「ぐぅっ!?」
差し伸べた手が届く前にジンオウガの前肢が振り下ろされた。
右肩に鈍痛が駆け巡った。
「黙れ・・人間・・理解・・ない。自分・・苦痛・・絶対・・分からない・・」
「ぁぁぁっ!」
ジンオウガの前肢が骨を苦しめる。ミシミシと鈍い悲鳴を上げ始めている。
表情は再び怒りに。毛も雷を纏い、乾いたを音を鳴らす。
「女・・喰らいたい。」
ジンオウガが首を仰け反らせ、牙を剥く。
先輩の血で生々しい紅い牙が顔を覗かせた。
「いやぁぁぁっ!」
が、牙が捉えたのは肉ではなく、防具だった。
安価な防具なので、鉱石などではなく縫合で生地どうしを留めているタイプの防具だ。
牙が私から防具を喰い千切ってゆく。
「あうっ・・やめっ・・・」
狼が餌を貪るように防具に牙を引っかけ力任せに喰い千切る。
獣独自の荒い息づかいが私を逃避させない。
 ー自分が今、まさにジンオウガに捕食されようとしているー 事から。
数秒もしないうちに私の防具はインナーまでに剥がされた。
先程捕食された先輩の血糊と唾液がべったりと塗り込まれて。
「ま、まって・・・まだ・・死にたくない・・」


<2011/05/13 23:12 セイル>消しゴム
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