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【保】敵討ち − 旧・小説投稿所A

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【保】敵討ち

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次の瞬間、二人とも宙に浮いた。
黒竜の姿を借りている少女が二人を摘みあげたのだ。
どうやら大魔導師が動揺したことにより結界が脆くなっていたのを無理やりぶち破ってきたようだ。

「とうとう、とうとうこの時が来た!召喚士たちの悲しみを、無念を、そして恨みを思い知れ!」

少女は吠えた。
そして大きな口をガバッと開く。
ズラリと並ぶ鋭い牙、健康的なピンク色をした口腔、そして食道へと通ずる大きな穴。
それらは二人に地獄の門を連想させるには十分すぎた。

「うわぁ!」

パッと手が離された。
二人は舌の上へと着地し、少女は静かに口を閉じた。

「血なまぐさい……」

大魔導師が口内の臭いにぼやく。
だがそんな悠長なことを言っていられる時間は短かった。
何故なら大きな舌が動きだし、二人のことを舐めだしたからだ。
まるで洗濯機の中に放り込まれた洗濯物のようになる二人。
大魔導師は何度か反撃しようとしたが、この状況では呪文を唱えるのもままならない。
二人は長時間にわたってまるで飴玉のように舐められ続けた。


それからしばらくして、ようやく舌の動きが止まった。
すると舌が二人を牙のところへ押しやり、すっと口が開いた。
脳裏によぎるのは先ほど生きたまま踊り食いされた馬の悲惨な姿。
そして牙という名のギロチンが二人に襲い掛かった。
しかし牙が二人を噛み砕くことはなかった。
ちょいちょいと甘噛みをし始めたのだ。
とはいっても鋭い牙での甘噛みなのだから、二人の体は傷ついていく。

「痛ッ!やめ痛い!」

「痛い!痛い!やめてェー!!」

二人の悲鳴を聞いた少女は、自分の復讐のやり方は間違っていないことを確信した。
少女の頭のなかにあることはただ一つ。

『二人を極限までに苦しめてから殺す』

それだけだった。

「やめろォー!!いっそのこと食い殺してくれェー!!」

王がとうとう音を上げた。
その言葉を聞いた少女は、待ってましたと言わんばかりに顔を上へと向ける。
二人は食道へと通ずる大きな穴に吸い込まれていった。
そして少女は二人の人間を一気に丸呑みにしたのだった。

「フム、それでよかったのか?てっきり噛み砕いて殺すのかと思っていたが」

少女の姿をした黒竜が近付きながら聞いた。

「そう簡単に殺したくなかったの。苦しみぬいて死んでほしいから」

少女の答えを聞いた黒竜は頷きながらレンタル中である自分の体のお腹を見る。
心なしか蠢いている気がした。
一方胃の中へと運ばれた二人は、真っ暗な空間で上下左右も分からない状態になっていた。

「ここは、どこだ?」

「知らないわよ!」

大魔導師は力任せにドンと蹴る。
しかし弾力性のある何かに吸収され、効果は薄そうであった。



<2011/12/09 22:21 とんこつ>消しゴム
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