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異世界の漂流者 − 旧・小説投稿所A

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異世界の漂流者

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ガチッ

「喰らえ!」

シュルツは走りながら拳銃の撃鉄を引いて竜に向けて撃ちまくった

バシュン!バシュン!バシュン!

光線銃のため火薬式拳銃とは違った音をさせながら竜に向かって光線が飛んでいく

キィン! カキィン!

光線は竜に当たったが鱗に弾き返された

「フン。そんな玩具が効くと思ったか!」

竜は余裕の笑みを浮かべている

「くそっ!」

効かないとわかっていても牽制はできると考え引き金を引く

バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!

走りながら後ろに向かって撃っているうえに、距離も60メートルぐらい離れているのでなかなか当たらない

銃を撃ちながら連れている少女に目をやる

今にも泣き出しそうな顔をしていた

その時、視界の端で竜が右手を振るうのが見えた

再び視線を竜に戻す。が・・・

ドガッ!!

シュルツの体は宙を舞っていた

そのままの木に激しく叩きつけられる

「ぐあっ・・・・・」

体のあちこちが痛み動かすこともままならない

(お・・・おか・・し・・・い。距離は・・・ま・・だ・・・あっ・・たのに)

ぼうっとする頭の中でシュルツは必死に考えていた

実際、攻撃があたるような距離ではなかったのだ

「だ、大丈夫ですか!?」

ソラが急いで駆け寄ってきた

俺のことをほっといて逃げれば良かったのに・・・と心の中でため息を付く

ズシィィン

重々しい音を立てて竜が降り立った

二つの赤い瞳がじっと見つめている

「ククク。その様子ではもう逃げられそうにないなぁ?」

そんな事を言いながら一歩一歩近づいてくる

「こ、来ないでっ!」

ソラがシュルツの落とした拳銃を拾い、立ちふさがるようにしてシュルツの前に出る

「フン。その玩具で攻撃してみろ。八つ裂きにしてやる」

右手の関節をボキボキと鳴らしながらも歩みを止めない

ソラはガグガクと震え銃を落としてしまった

「やめ・・・ろ・・・。その子に手・・・・・を出・・・すな。」

地面に落ちた銃を拾いフラフラとシュルツが立ち上がる

「エアカッターを喰らってまだ動けるとはな・・・」

竜は正直驚いていたが、顔には出さなかった

「・・・お・・い」

「何だ?」

「さっき距離が・・・あった・・のに、なぜ俺は・・・吹っ飛んだんだ?・・・」

ゼイゼイと肩で息をしながらシュルツは問い掛けた

「人間。異世界から来た貴様に教えてやる。お前はエアカッターを喰らったんだよ。エアカッターというのは竜族が使う技で空気の鎌を打ち出すんだ」

竜はさっきと同じく右手を振った

すると空気の鎌が出現しそばの木に当たる

「最後に疑問が晴れて良かったな。冥土の土産が出来ただろ?」

竜はシュルツ達のすぐ目の前まで来ると歩みを止め、首をぐっと下げる

こうやって獲物の表情を見ているのだ

少女は今にも泣きそうだったが、人間の方は睨んでくる

「さて、どっちから喰ってやろうかなぁ?」

竜は嬉しそうに顔を歪めながら二人を交互に見比べる

「逃げ・・ろ・・・」

シュルツは竜の前に出てソラを逃がそうとした

しかし竜がそれを許す筈もなく・・・・

シュルツは巨大な手で押し倒されソラは尻尾で拘束されてしまう

「ククク・・・泣かせるねぇ。そんなに小娘が大事か?」

「は・・・離せ!」

シュルツは傷ついた体を動かし竜の手から逃れようとする

「無駄なことを・・・。どれ、お前から喰うとしよう」

抵抗を煩わしく感じたのか竜はシュルツの方から喰うことにした

ガパッ・・・

目の前で巨大な口が開かれる

唾液が糸を引いて落ち、哀れな獲物の顔に掛かる

「先ずは・・・クククッ」

そう言うと竜はシュルツの口に舌を突っ込んだ

「んん〜〜!!」

巨大な舌が人間の口に入るはずもないのに、力ずくで入れる

シュルツは必死に抵抗するも体は竜に抑えられてしまっているので舌を押し返す事は出来ない

そうこうしている内に、何かドロッとした液体が口の中に入ってきた

「んぐっ・・・ぐえっ・・・・・」

「どうだ?俺の唾液の味は。旨いだろう?」

生臭い竜の唾液を無理やり飲まされる

ただそれだけの事でシュルツの抵抗はどんどん弱くなっていった

「ククク・・・」

五分後・・・竜はやっと舌を抜いた

ゼイゼイと肩で息をしている獲物を満足そうな顔で見下ろす

「どれ、次は味見だ。」

竜はシュルツをつまみ上げ、頭上まで持ってくると口を開けた

「う・・あ・・・・あ・・・!!」

足元に広がる地獄の光景に恐怖を覚え手足をバタつかせる

「ククク・・・頂きます」

竜は手を離した

シュルツの体は重力に引かれ落ちていき・・・

バクゥン!!

巨口に収まった






「ここから・・・出せ・・・・・・・!」

竜の舌の上で横になりながらもシュルツは必死に叫んだ

両手で舌をボコボコと殴っているが体力が消耗している事もあり効いているようすはまったくない

しばらくするといきなり舌が動き出した

獲物の体を包み込み唾液を塗りたくる

「ん!・・・んんんん!」

顔も舌に包まれ息をする事が出来ない

そのままシュルツは意識を失った






「ククク。中々の味だな」

竜は人間を飴玉のように転がし味を堪能する

どれだけ舐めたり、締め上げたり、押しつぶしたりしても抵抗しない事をみるともう気絶してしまったらしい

「次は歯ごたえだな」

舌を使って人間を牙の上に乗せるとゆっくりと口を閉じ牙を体に食い込ませ始める

アグッ・・・・アグ・・・・・

柔らかい肉に牙が食い込み、突き破ると血がじわじわと溢れてくる

それを舌でじっくりと舐め取っていった

(旨い。人間とはこんなに旨いのか・・・・!)

竜はひそかに感動していた

空想上の生き物である人間がこんなに旨いとは思いもしなかったのだ

(・・・・そろそろ飲み込むか)

竜は口先をゆっくりと上げ傾斜をつけていく

唾液まみれになった人間は摩擦が減りズルズルと喉の方へ滑っていった

そして

ゴクリ・・・

人間は竜に飲み込まれた







「あ・・・ああ・・・・・・!」

ソラはその様子を見ていた

竜の喉の膨らみがゆっくりと下っていく

「ゲフッ。ご馳走さん」

満足そうにゲップをすると竜はソラに視線を向けた

「い・・・嫌!食べないで!」

ソラは必死に命乞いをする

こんな事をしても無駄だとは分かっていたが、尻尾に拘束されている今、できる事といえばそれくらいの事だった

「さて。お前はどうやって喰ってやろう」

竜は尻尾を動かしソラを口元まで持ってくると生暖かい息をかけてやった

目には涙を浮かべ、ガクガクと震える獲物を見るのは中々面白い

「安心しろ。俺は優しいからな。痛くないように丸呑みにしてやる」

竜は笑いながらそう言うとグパァと口を開けた

幾つもの命を奪ってきた口をソラにゆっくりと近づけていく

「嫌!やめて!!やめてぇ!!」











「いただきまぁす♪」

「嫌ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」






バクン!







「助けて!誰か助けて!!」

ソラは竜の口の中で必死に来るはずのない助けを呼んでいた

横になったまま牙に手をかけてこじ開けようとするがびくともしない

「きゃ!」

その時ソラの体の下で何かが動いた

それは竜の巨大な舌だった

舌は蛇のように鎌首をもたげると怯える少女目掛けて襲い掛かる

「やめっ・・・・ぷはっ!やめて!」

舌の巻きつきから逃れようと必死に手を突っ張り抵抗する

だがそんな抵抗も竜からしてみると興奮させる要素の一つにすぎなかった

「いいねぇ。もっと楽しませておくれよ。お嬢ちゃん♪」

竜は舌を引き抜くと少女に覆いかぶせた

「ん!ん〜んんん!!」

舌と下顎の肉に挟まれ息が出来ない

あと少しで窒息するとゆうところで竜は舌をどかした

「はあっ・・・はあっ・・・」

ソラはやっとの思いで空気を貪る

「いや・・・もう嫌!」

ソラはとうとう泣き出してしまった

どうして自分がこんな目に会わなくてはいけないんだ!と心の中で叫ぶもその思いは誰にも届かない

「そうか。嫌か。だったらもう終わらせてやるよ」

竜が笑い声を含んだ声でそう言った

その声にソラが聞き返す

「本当?・・・・」

「ああ。本当だ」

「・・・・・・・」

ソラとの会話が終わると竜は口先を上げ始めた

「ちょ、ちょっと!やめるっていったじゃない!」

叫びながらも竜の舌にしがみつく

「やめるとは言ってない。終わらせるといったんだ。そんなに嫌なら飲み込んですぐに終わらせてやるよ」

「そ、そんなぁ・・・!」

話している間にもどんどん傾斜がきつくなっていった

舌にしがみついているソラの体も、ズル・・・ズル・・・と滑り落ちていく

もう体力の限界だった

そしてついに







ズルッ!







「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」



ゴクリ






ソラは飲み込まれた






「ククク。ごちそうさま♪」

竜は満足そうな顔でそう言うと右腕で口周りの唾液を拭う

しばらくたって落ち着いてくると周りを見渡してみた

木は枝が折れ、地面には唾液の池ができているというひどい有様である

「ん?あれは・・・」

その時竜が何かに気がついた

飛んだ方が早いのだがゆっくりと歩いてその場所へと向かう

そこはあの人間と出会った場所だった

そこの木の下にリュックが置いてある

恐らくあの人間のものだろうと竜は推測し、リュックを摘み上げてみた

軽く振ってみると中からガチャガチャと金属音がする

「興味深いな。持ち帰って調べてみるか」

竜は翼を広げると飛び立った

そのまま右に90度進路を変え自分の洞窟へと向かう





その時遠くに戦艦ウィルクが見えた

竜と同じ色をした灰色の船体が太陽に照らされている

その艦影は帰って来れなくなった艦長を痛んでいるようだった












竜の持って行ったリュックがその後の運命を変える事は誰も知らない







<2011/05/29 17:20 雪風>消しゴム
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