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表裏一体 光の頂 − 旧・小説投稿所A

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表裏一体 光の頂
− 葛藤 −
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「どうして?どうしてそんな顔をしているの?楓様・・・」
「ッ!?」
決心の旨を天竜様に告げようと顔を上げた瞬間。
黒の片眸のみを開いた少女。
天竜様ではない花梨が不安そうな表情を浮かべていた。
「花梨・・・」
「楓様・・・私が悪いのですか?何も知らない・・何もできないからですか?」
どうやら自分が巫女であることも、天竜様の遷身であることも本人には自覚すら無いようだった。
突然、表情を崩した私を見て非常に困惑していた。
「お前は何も悪くない・・・悪いのは私なのだ。私がお前を巻き込んでしまったからこんな事になってしまったのだ・・・」
「楓様・・・」
「もう・・・よしてくれ。私はお前が恐い。お前の人生を人間では無いものに変えてしまった罪を咎められる。そう思えて仕方が無いのだ。次の言葉が・・・」
私は逃げるように俯いた。
明らかな自責だ。
ただでさえ命を奪い、私的欲求で命を恣にした。
一度ならず二度までも。
確実に花梨は私を憎んでいる。
今度は私がそうなるように。
「本当に恐い。恐くて・・恐くて。心から恐怖を覚えるのだお前に」
「だったら咎めればいいのか?私はお前が憎いと」
はっ・・として顔を上げると今度は碧の片眸が開いている。
天竜様が花梨と入れ替わったのだと理解に数秒費やす。
「私にとっては罪に苛まれるよりはいいかもしれません」
「逃げるのか?神獣であるのにか?」
「もう私は神獣ではないのです。貪欲な堕ちた獣ですから何もできない。恐怖から逃げたがるのですから・・・ふふっ」
私は自嘲した。
本当に情けない。
どうしてここまで成り下がったのだろうか。
神格が堕ちた神獣ではない。
地べたに這いつくばる獣にまで私は堕ちたのだ。
私は自分に絶望する。
ただの獣である私は意味も分からず涙していた。
「だったら逃げるな。私の半身を継いで巫女は解放する」
「!?だ、駄目です。貴方様のご半身を削ってまでの存在ではございません!!」
「これは私からの礼だ。それにこの巫女がお前にとってどれほどの存在か興味を持った」
天竜様の双眸が開く。
花梨の黒目。
天竜様の碧目。
それぞれを司るモノ。
一つの体に相容れる二つの存在。


<2011/07/13 09:13 セイル>消しゴム
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