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表裏一体 光の頂 − 旧・小説投稿所A

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表裏一体 光の頂
− 罪 −
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「楓。昨日のことは水に流そう。よく戻ってきた」
柊お祖父様が言葉を紡ぐ。
堕神ではあるがこの神窟・・自宅に身を置くことは許された。
天竜様を呼び戻した代わり。
私は花梨を救いたいだけだったのに。
「ありがとうございました。今件は多大なご迷惑をおかけして深くお詫び申し上げます」
深く頭を下げ、その場を私は去る。
「楓よ」
神窟を出たところで壁に寄りかかっていた花梨・・いや天竜様が声をかける。
「何で御座いましょうか?」
「巫女に会いたいか?」
”逢いたい”思わず私はそう吐き出しそうになった。
しかし、花梨はすでに天竜様に変わってしまった。
もう・・・花梨には逢えないのだ。
「過ぎ去りし時には戻れない。ですから遠慮しておきます」
本当は今すぐにでも花梨に逢いたい。
目前にいるのに、触れるのに。
その花梨は花梨ではない。
天竜様の遷身なのだ。
「なぜそんな顔をする?巫女に逢えるのだぞ?」
「花梨は貴方様の遷身。ご冗談を・・・」
組んでいた腕を戻し、天竜様が重心を元に戻す。
色の違う双眸が私を見つめる。
「冗談ではない。私とてこの巫女の体を大切に思う。幾度となく私はお前に護ってもらった。だから礼を果たそうと・・・」
「・・・それが本当だとしても私めには花梨に逢う資格はとうに失っております・・・」
私はもう花梨に逢いたくない。
一度この手で殺害し、さらには天竜様の遷身。
これでは弄んだ命をさらに弄っているのに変わりない。
花梨という存在をあやふやなモノにしてしまったのは紛れもなく私なのだ。
納得のいかない結末ではあるがこれでいい。
花梨には悪いがもう忘れる事にする。
かけがえの無かった存在。
それに決着をつけるにはここしかなかったのだ。


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<2011/07/06 10:11 セイル>
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