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君と見た空 - 旧・小説投稿所A

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君と見た空

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サァァァァ・・

雨のように降り注ぐ太陽が、じりじりと木々の葉を焦がす。
地平線まで広がる海に囲まれた孤島・・イルミア島は、今日も
何ら変わらない日に終わりそうだった。



「や、やめっ…来ないで…!!」

そんな無人島の中を、一匹の♀のピカチュウが疾走していた。
ツルの生い茂った密林の中を、飛んで、走って、風のように突き進んでいく。
まるで何か恐るべきものから逃げようとしているようだった。

ガッ…!!

「きゃぁ…!!」

自分のスピードに視界がついていけなくなり、突き出ていた石に
足を奪われる。勢いのあまり大きく前へと飛び出し、盛大な音とともに彼女は転んだ。

「はぁ…はぁ…っ…いやあっ!!」

恐怖のあまり後ろを振り向けず、急いで再び立とうとする。
しかしその両足からは血が流れ出しており、ズキズキと彼女を苛んだ。


「まあまあそう焦るなって…‥いいだろ? ちょっとぐらい味見させろよ…」

ずるずると重い胴体を引きずって、ハブネークが瞬時に追いつ
いてきた。先の裂けた舌をだらしなくはみ出させている。

「い、いやよ!! どうせ私を…裏切って食べるつもりでしょう!?」

「お~お~いい勘してるじゃないの・・分かってるなら大人しくしてな」

ピカチュウが立つよりも素早く、ハブネークは太い身体を動かした。
長太な胴体を抱きしめるように巻き付け、自分ごと地面に組み伏せる。

「き…きゅぅ…‥」

「可愛い声してんじゃねえか・・もっと絞めてやろうか?え?」

ピカチュウは血流が止められるのを感じ、ベキベキと骨が唸る音を聞いた。
漏れそうな涙をこらえながら、必死に唇を噛んでこらえる。


ジュルッ……ヌプァ…

熱い息を吐く彼女の前に、ハブネークの暗く長い肉洞が見せつ
けられる。我慢に耐えきれない涎の海が、トロトロと地面に染
み込んでいった。


「へへ…もう待てねえや……いただきまぁす」

「・・・あっ・・ん・・」

ぐおっと一気に呑み込まれ、彼女の視界はピンクに包まれる。
未だかすかに震えている両足も、ハブネークは血液ごと口内に収めた。
喉に力を入れ、小さな身体を奥へと押し込んでいく・・


ゴップゥ…‥グプン…

「げふぅ・・さすがに一日四食ってのは疲れるねえ・・」

臭気に溢れるゲップを吐き、ハブネークは近くの大木の幹を這い
上がっていく。寝床である太い枝に身を置くと、とぐろを巻いて静かに目を閉じた。





たんまり腹を膨らませたハブネークの眠る木。
その真下をカイオーガが通ったのは、それから5分後のことだった。

「ギラティナぁ~? あれ、いないの~?」

悠々と草木をかいくぐって歩く伝説ポケモンの姿に、近くのオ
ニスズメ達は慌てて大空へと逃げる。この島に安全を約束され
た場所など、ありはしないのだ。


カイオーガは友をあちらこちら探し回りながら、ついに大海原
の望める海岸へと飛び出した。母なる海の潮風を吸いこみ、泣く
子も黙る大声を響かせる。


「ギ~ラ~ティ~ナー!!!!! どぉこおおおおっ!!!!!」

「だああ、うるさい! たまには静かに寝かせろ!!」

ハイパーボイスのような大声に反応し、カイオーガの目前に
黒い影が出現する。金の装飾を煌めかせ、反世界の支配者とも
言われるポケモン・・ギラティナだった。


「毎日毎日しつこいぞ!! お前もいい加減他の奴らと付き合ったらどうだ!?」

「・・・ごめんなさい・・」

鬼のような形相で叱りつけられ、カイオーガはしゅんと小さくなる。


「…だってルギアもゼクロムも‥…みんな旅に出て行っちゃったし……誰と遊べっていうのさ…」

「わ、分かった……分かったから機嫌直してくれ…」

こういった雰囲気には滅法弱いギラティナ。
カイオーガもそれを熟知しているのか、ニヤッと心の中で笑った。

「じゃあさ……遊んでくれる…?」

「(昨日もこうだった気がする…)分かった・・」

いつもの戦法に敗れ、ギラティナはやれやれと後ろを向く。
カイオーガは自分にはない黒光りの翼に目をやりながら、ヒョ
イとその背中に飛び乗った。

「おおっ…と…‥!! ゆっくり乗れといつも言って…」

「まあまあ♪ さあ空の旅にレッツゴォー!!」

「・・・お前振り落とすぞ・・」

悪態をつきながらも、ギラティナは地を蹴って大空へと舞い上
がった。それと同時に旋風が発生し、辺り一帯は砂煙に荒れる。



  ~


「んん~っ…きもちいい~・・!!」

「ああ・・これだけは私も飽きないな」

ギラティナは雲が漂う高さまで上昇し、それからスバメのよう
に急降下した。風が頬を切るように走り、夏の暑さなど一瞬に
して失われる。


「いいなぁー‥…僕も翼ほしいよ…」

「フフ…今は楽しむときだ。サービスしてやるから我慢しろ」

海面スレスレでギラティナは急激に方向を変え、水の上を滑るように飛ぶ。
これにはカイオーガも大満足のようで、心地よい海風に笑顔をこぼした。

「わああ…落ちちゃう落ちちゃう…」

「・・私だって羨ましいものだぞ? 自由に泳げるお前が」

「え、ギラティナ泳げないの?」

「ああ…生まれつきの体質でな」

さすがに暗い表情は見せなかったが、ギラティナは未だ見た事
のない水中を眺めていた。陸と空でしか生きられない事の辛さ
は、カイオーガには分かるはずも無かった。

「あ…‥悪いなこんなつまらない話して…」

「いいんだ♪ 今は楽しむとき・・でしょ?」

「……そういう事だ!」


<2011/05/15 16:02 ロンギヌス>消しゴム
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