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君と見た空 − 旧・小説投稿所A

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君と見た空

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※書いてて分かった事:音楽聞きながら書くと楽しい※





「あっ…いた!」

森の木々を突き破って、ロンギヌスがトランク片手に飛び出した。
カイオーガにとどめを刺そうとしていたアルセウスは、
関心を寄せたように振り向く。


「人間か…我らの敵はなんと多いことだ…」

「…神のする事か? こんな…」

ロンギヌスはゼーゼー荒い息を吐きながら、血みどろのギラティナ、
そして深い傷を負ったカイオーガを見る。
彼の人としての心に、何かが燃え上がった。


「人間など世界を汚すただの害虫…貴様も死に絶えたいのか?」

「なら見せてやるよ。その害虫が生んだ…科学という武器。」

ロンギヌスはケースの蓋を開き、左上のメモリを丁寧に抜き取る。
「A」の文字が描かれたそれは、日の光を受けて赤く輝いていた。


「貴様…メモリを持って…」

「A…何のイニシャルだと思う?」

キチッ…「AIR COVER(航空援護)!!」



……


一瞬の静寂を破ったのは、空気を裂くような高い音だった。
見る見るうちにその轟音は大きくなり、
アルセウスの目は大空へと向けられる。


キュィーン……!!!

「あ、あれは…」

目を疑うような数の戦闘機が、マッハ2を超える速さで空を滑空していった。
森中の大木が風に揺れ、辺りに葉が踊り上がる。


「…喰らえっ…!!」

ガチャン…「AIR COVER__マキシマムドライブ(MAXIMUM DRIVE)!!」

空を覆うような戦闘機全てが、一斉に強烈な爆撃を仕掛ける。
ロンギヌスは急いで森の中へ避難すると、
木の影から動じないアルセウスを見た。


「こんな玩具で我を倒す気か…? 笑わせるな…」

アルセウスは自分の周りに9枚のプレートを浮かばせると、
黄色のプレートから稲妻を空に撃ち上げた。戦闘機7つ程がまとめて
吹き飛んだが、その大軍を壊滅させることはなかった。

ドドドドドッ…!!
ギュゥン…!! ギュゥン…!!
ガァァン!! ガガァァン!!
ドゴォォン…ギュゴォォォン…!!!!!!!

島中を揺るがすような衝撃とともに、戦闘機の猛攻がアルセウスを襲う。
爆発に次いだ爆発で、広場一帯の木は灰となった。













「カイオーガ…おい、おい起きろって!」

ロンギヌスは爆撃の間をついてカイオーガの元へ近づくと、顔を
ペシペシと叩く。痛そうにむくっと起き上がると、
カイオーガは傷の深い肩に手を置いた。

「な、なに…? この爆発…」

「いいか、よく聞いてくれ。
アルセウス相手にこれは足止めぐらいにしかならない…俺の力じゃ太刀打ちできるはずもないし、援護ぐらいしか出来ないんだ…」

ロンギヌスはポケットから包帯を取り出すと、早口に
喋りながらカイオーガの傷口へと巻きつけた。
情けなさそうに膝をつくと、エターナルメモリを指差して言う。

「お前に貸したそれなら、あいつらの力を抑えることはできる…
でもそこからは誰もお前に代われない。自分信じて、ぶつかってくるしか無いぞ。」

「……うん…」


アルセウスは怒り狂った形相で、最後の戦闘機を撃墜する。
くるくると翼を失った機体は、海に煙を吐きながら墜ちていった…


「はぁ…はぁ…人間、顔を見せろ!!」

「行かないと…頑張って。」

アルセウスの罵声に、ロンギヌスはメモリ片手にすっと立ち上がる。
焼け焦げた大木の影から身をさらけ出すと、アルセウスに一歩一歩近づいていった。



「フン…いい覚悟だ…貴様を先に消すとしよう!!」

「あいにく俺は臆病者だからね…逃げるが勝ちだろ。」

キチッ…「INVISIBLE(不可視)」

アルセウスが破壊光線を撃ってくるより早く、
ロンギヌスはメモリのスイッチを押していた。霧のように体は消え去り、
あっという間に見えなくなる。


「逃げたか…この卑怯者が…」

透明化したロンギヌスに愚痴をこぼしながら、
悔しそうに地を蹴るアルセウス。しかし
その視界に立ち上がったカイオーガが映ったのは、そのすぐ後のことだった。


「貴様…やはりまだ…」

「アハ…妙に気分がいいよ。なんでだろね…♪」

挑発されたような気分に見舞われて、アルセウスは部下達に指示を放つ。
ルカリオとパルキアが戦闘機のように襲いかかり、
カイオーガを血祭りにあげる…はずだった。


<2011/05/15 16:13 ロンギヌス>消しゴム
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