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君と見た空 − 旧・小説投稿所A
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君と見た空

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ガブッ…!!

「痛い痛い痛い痛い痛いいたぁーい!!! か、噛みつきは反則だぁっ!!」

ルカリオの狼のように鋭い牙が、カイオーガのヒレを捕らえて離さない。
執念深い野蛮な攻撃に、カイオーガは肩をぶんぶんと振った。


ガチャン…「サイクロン__マキシマムドライブ(MAXIMUM DRIVE)!!」

パルキアがその隙をついて、背後からカイオーガ
を狙う。爪に島中の風を集中させ、竜巻のような「亜空切断」を繰り出した。

ビュルゥ…ズザザザザァァァ!!!!!

「えっ…わあああああっ!!」

どうやら二匹の作戦が功を成したようだ。カイオーガが
吹き飛ばされる直前にルカリオは口を外し、亜空切断の被害を受けることはなかった。
計画通りに、カイオーガは地にこすられながら倒れる。


「うっ………ぇ……」

首をもたげて再び立ち上がろうとするが、メモリで強化された技は
流石に応えたようだ。
ぐらっと傾き、カイオーガは力尽きたように意識を失った。






「……嘘だ…おい、カイオーガ…!!」

「起きるはずないだろう…? 奴はもうし…」

「言うな…!! お前もいい加減…黙れえええええええええええええぇっ!!!!!!!!!!」

ギラティナは痛みを殺しながら、杭の拘束から翼を引きちぎった。どす黒い血液をドロドロと垂らしながら、アルセウスに虚しく体当たりする。

「触れるな…汚らわしい。」

アルセウスは片足だけで難なくギラティナを押し倒すと、翼を失った冥王を嘲けり笑った。


「おおそうだ…パルキア、カイオーガの脈を計れ。生きているかもしれぬ…」

「はい」

機械的にそれに従い、パルキアは大木に打ち付けられたカイオーガ
の胸ビレを持ち上げた。脇下らしき部分に手を添えると、巨体がズズッと吊り上がる。


ドクン……ドクン……

「脈ありますね……こいつ生きてます…」

「ほう…? しぶといと言うより鬱陶しいな…」

ギラティナを踏みつけ、自らカイオーガの元へと歩くアルセウス。危険な雰囲気を漂わばせながら、そっと足を止めた。


「よく見れば醜い若造じゃないか……これは見当違いだったようだな…?」

「……畜…生…………………」

その酔いしれた笑い声を遠くで聞きながら、ギラティナは生涯
初めての悔し涙をこぼしていた。
あまりの疲労に怒る気力も失せ、静かに目を閉じる。


<2011/05/15 16:13 ロンギヌス>消しゴム
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