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ゴクッと日常 − 旧・小説投稿所A
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ゴクッと日常

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………

スタッフの老婆を除いた全員が、メモリに
埋め尽くされた壁を食い入るように見つめて
いた。そして目当ての物を見つけたのか、
カイオーガがその中の一本を手に取る。


キチッ…「LONG(長さ)!!」

「ああそれね…長さの力を秘めた、ワシお気に入りの一つさ…貸してごらん。」

老婆はキョトンとしているカイオーガの手
からメモリを抜き取った。そしてそのまま
80歳とは思えない素早さでカイオーガの口を
こじ開け、元々長すぎる舌に差し込んだ。


「うっ…ぶぁぅ…んっ…!!」

舌袋がある辺りの左胸が、豊胸手術でも
したかのように膨らみ始めた。カイオーガ
は口を抑え、溢れそうな自分の舌肉に悶える。

「ひっひっひっ…あんた舌長いんだねぇ…? ざっと80mってとこかい?」

「知ら…ないよ…!! うぶっ…も、元に戻して…ぇ…!!」

カイオーガはついに耐えきれなくなり、80m×3=240mという長さと化し
た舌が、ドバッと口から溢れ出た。ニュル
ニュルと大蛇のように蠢いている。
 老婆はやっとの事で解除用のメモリを彼に
突き刺し、ヘトヘトのカイオーガを見下ろす。


「よく窒息しなかったねぇ…? さて次は…」

「僕じゃなくてマスターにしてよぉ…疲れちゃた…」

慌ててレムリアの背後に隠れるロンギヌ
ス。しかし老婆は熟練者の手つきでメモリを
ひっ掴み、レムリアの脳天を狙って投げつけた。


「きゃっ…待っt…」

ピチュゥ…「RITTLE(縮小)!!」


メモリと彼女の肌が触れた所から光が放た
れ、全員の目を眩ませる。再びそのレムリアを
直視できるようになった時にはもう、彼女
の体は大きめのぬいぐるみサイズとなっていた。

「いっ…そんな…私っ…」

小さな首を振り、巨大化した周りの景
色を眺め回すレムリア。しかしその背後に
いた違う意味での「捕食者」に、既に彼女
の体は目を着けられていた…


ガシッ…!!

「えっ…?」

ぎゅううううううっ…!!!!

「えええええええええっ…!! 離して…!!」

ドラゴン好きのロンギヌスに目前のミニドラを抱き
しめるなというのは、逆立ちで富士山を往
復しろというのと同じだった。可愛い物を見つめる狂気のロンギヌスに、レムリアは悲鳴を上げたまま抱擁される。


「マッ、マスター帰ったらただじゃ…!! ひゃん…!」

「あっここって意外ともふもふなんだ…ほれほれ♪」

「もぅ…やめてぇぇっ!!!」



老婆は面白そうに撫でられ続けるレムリア
を眺め、抜け落ちた歯を見せながら笑っていた。
ある程度満足したところで、再び効果解除の
メモリを投げつける。


ビシュゥゥン…

「よっ…よく…もぉ…」

元の大きさに戻るとカイオーガ同様、いつ
もとは逆に弄ばれたためか、レムリアはぐ
ったりと床に倒れ込んだ。ロンギヌスを睨
みつけながら、疲れた荒い息を吐く。


「さてさて次はあんただよ…どのメモリがいいかねぇ…?」

冷たく言い放たれたその言葉に、ロンギヌ
スはもう笑ってはいられなくなる。老婆がメモリ
を探している間に、そそくさとその場から去ろうとした。


<2011/05/15 16:04 ロンギヌス>消しゴム
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