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暗翳の空 解き放たれし竜 - 旧・小説投稿所A

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暗翳の空 解き放たれし竜
- 恐ろしき計画 -
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次の日、
起きると、午前10時前だった。

少し二日酔いしてしまったようだ。
頭が痛い。
ベッドから立ち上がると、少し足がふらついた。
なんとか体勢を立て直し、フラフラと洗面所まで行った。
「全てあいつのせいだ。」
洗面台を思いっきり叩いた。
最近、思い通りに行かないこと全てが、クオールのせいに思えて仕方がない。


今日は、仲の良かった旧友と会うことになっている。
会う時間まであと4時間程ある。
その間に酔いも醒めるだろう。
洗面所から戻ると、カーテンを開けた。
空では今にも落ちてきそうな、どんよりとした雲がどこまでも続いていた。

旧友であるクロードは現在病気の治療法を研究しており、最近流行している結核の治療法を特に研究しているらしい。
そのためか、なかなか休みが取れず、二人の都合が合うことは少なかった。


14時
雨はまだ降らないようで、雲は沈黙を保っていた。
先ほど、急に待ち合わせの場所に行けなくなったと電話があり、研究所に来てと言われたのだった。

コン、コン
年季の入った木の扉を叩く。
ここがクロードの研究所だ。
「はいどうぞ~」
クロードの声だ。男にしては高いのが特徴的だ。
「お邪魔しまーす」
「ちょっと待っといて、すぐ終わるから~」

此処に来るのは二回目だった。
十畳ぐらいの部屋だが、色々な荷物を置いているため、結局は狭く感じられる。


ゴロゴロ…

雷だ。雨が降りそうだ。


ふと乱雑な机の上を見た。
いろんな資料があり、どれもかなり厚い本だった。
そして、いろんな瓶が沢山あり、その中には怪しげな薬が入っていた。
そんな中、ひときわ目立つ黒い瓶があった。
「これは何だ?」
「ああ~それは結核菌をカプセルに入れたものだよ~食べる~?」
「冗談はよせよ、そんなもの食ったら結核になっちまうじゃないか!」
「あはは~ そーだね~ 12時間も経ったら結核にかかっちゃうよね~」
随分と軽いノリだ。クロードは昔からそうだった。





結核菌…

カプセル……




フフッ

心の中でほくそ笑んだ。

これは使える。

これでクオールは…



ピカッ…
カーテンの隙間から光が漏れた。
外では雷が光っていた。


「ところで、結核って死ぬ確率はどれ位なんだ?」
「えーとね~ 大体20%かな~」


そんなにも低いのか…
考えていた確率とはかけ離れていた。
多分、クオールは注意深いため、クオールに直接カプセルを渡すと怪しまれる。かといって間接的に渡すのも怪しまれてしまうだろう。
そもそも気付かれてしまえばお終いだ。
絶対に誰にも気付かれてはならない。

ただ、このカプセルはかなりの武器になる。
武器だけ仕入れて、帰ってから作戦を練ろう。

音を立てぬように瓶の蓋を開け、念のため二つカプセルを取り出すと、またそろりと蓋を閉めた。




クロードと別れ、雨が降っている中家に帰ると、電話がかかってきた。
「イスト、お前に仕事だ。」
流石に上司に逆らうと王の信用を失いかねない。
上司の言葉遣いに苛つきつつ返事をして用件を聞いた。

また昨日と同じように、商人の護衛だそうだ。今度はエストロ王国に行くことになった。
あのクオールも一緒だが。

だが今回は嫌がらない。
これを我慢すれば俺の野望は現実となる。
そう、俺は完璧な計画を思いついたのだ!
イストは紙を取り出して、計画の概要を書き始めた。

このカプセルはクオールに飲ませるのではない、クオールの家族の誰かに飲ませるのだ。
エストロまで遠回りをして9時間程かかる。
出掛ける直前にカプセルを飲ませれば、エストロに着いて暫くした頃に容体が変わるだろう。
そして、エストロに居るクオールに連絡が入る。

そこで、クオールに“北の森”を通らせれば…!

クオールに直接手を下すことなく抹殺できる。


…これこそ、完璧な計画だ。

怪しまれずにコレを飲ませることが出来れば…


「フフフッ ハハハハハッ」



大声で笑った、

未来への希望へ向かって。







更新ペース遅い(泣
<2012/10/12 00:11 長引×どんぐり>
消しゴム
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