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獄狼竜目線になります。

私は少女に向かって歩み出した。
しかし、少女にとって、私は恐怖の塊なのだろう。一歩進めば少女は数歩下がる。
当然だ。これまでみんなそうだったからな…
だが、私達の言葉は通じないという、常識を無視して、話しかけてみた。

【安心してくれ。危害は加えない。ただ、話がしたいだけだ。】

…ただの唸り声にしか聞こえないか…
落胆し近づく。しかし、向こうは動かない。
驚いて顔をよく見ると、泣きそうな顔で聞いてきた。

「…ほんとに…?」

まさか、何かの間違いかと思ったが、近づいても動かなかったから、本当に聴こえたんだろう。
… 私の言葉が。
嬉しかった。近頃は、同じモンスターとも、会話しなくなっていた。だから、より嬉しくなった。
あぁ、とりあえず理由を詮索する前に、はっきりと伝えねばいかんな。

【勿論だ。絶対傷つけたりしない。】

すると、少女は泣きながら、私に抱きついてきた。
少々焦ったが、少し嬉しかった。少女はまだ泣いているが、笑顔で自己紹介をしてくれた。

「私はエシア！よろしくね！えーっと…」

…私の種族を知らないのか…
少し安堵し、自分の名を告げる。

【私はパニシュだ。よろしくな。】

エシアは元気に返事をくれた。

「うん！よろしく！パニシュ！」

…他者に素手で触れられたのは、何年ぶりだろうか…

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