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3つ目の至宝 − 旧・小説投稿所A

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3つ目の至宝

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ズニュ…むにゅ…

「あ…あぅ…」

白いお腹の中から聞こえる、モゴモゴした最後の悲鳴。レムリアは歓喜にも取れるそれをしっかり聞き届けると、ノロノロと歩き始めた。

「かなり遅れちゃったかしら……氷竜に怒られちゃうわね。」

3人はおよそ100年の付き合いだ。お互
いの性格や行動は知り尽くしていた。レ
ムリアはキレた氷竜の姿を思い浮かべ、クスリと笑いながら角を曲がった。




〜ポセイドン 中央司令室〜

「し、司令!目標の殲滅は失敗…3体ともこちらへ向かっています!!」

「北通路との連絡、全て繋がりません!」


タラリと冷や汗を流すグレイの耳に、上等兵達の声が次々に飛んでくる。しかしグレイの表情に恐怖は見られず、むしろ興奮しているように見えた。

「(素晴らしい…ここまで攻め込んでくる伝説の竜族か…)」

考えよりも体が先に動いたようで、グ
レイは司令席を飛び降り、部屋の出入口へと向かった。

「し…司令!どちらへ!?」

「決まっているだろう…宝を持ってくるんだ!!ここを砦にしてやる。」

ピシュゥンと自動ドアが開くと、グレ
イは猪突猛進の勢いで特別室へと走っていった。後に残された兵士達は固まったまま、遠くに消えたその影を見つめていた。



〜ポセイドン 中央司令室から70m地点〜

「ん?」

「きゃっ…」

どこかの漫画のように、氷竜とレムリアはバッタリ出会う。仲間同士なのにも関わらずまず睨み合うのは、恐らく犬猿の仲だからだろう…

「あら…?牙竜はどうしたの?」

唐突な質問に、氷竜は近くの角を指差す。するとドンピシャリ、牙竜が兵士を摘み上げ、ニュルリと舌舐めずりをしているところだった。

「お前か…?私の槍を隠しているのは。」

「なっ…いったいなんの話を…!!」

「知らないのなら不要だ。死ね。」

牙竜が二人も驚く大きさで口を開け、その兵士を呑み込むのに5秒もいらなかった。


ゴキュ…

「おい牙…遊んでないで早く行くぞ。」

「私を略して呼ぶな。それに遊んでた訳でもない。」

彼のツンとした態度にイライラしている氷竜をよそに、レムリアが牙竜の肩を叩いた。

「牙竜、あそこに見えるあれ…怪しくないかしら。」

「怪しいも何も…あれがここの長がいる場所だ。」

レムリアが指差したのは中央司令室…そ
の自動ドアの前を人影が通り、その中へ入っていくのを、その場にいた全員が見て
いた。そして視力6.0の竜達が、その手にある3つの宝を見逃すはずもない。



…………


「…あれね。」

「処刑だ。」

「ククッ…♪精々抵抗してもらおうか?」

秘宝を守る者としての血が騒ぎ、三人は
空間を裂くような勢いで突き進んでいった。


<2011/05/15 15:54 ロンギヌス>消しゴム
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