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守る物 − 旧・小説投稿所A

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守る物

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* *〜ティアの胃〜 * *

ぼとっ!

「うわっ!」

どこか広い所にでたようだ。とても蒸し暑く異臭がする。

「あれ…?僕、たしか食べられて…。ってことはここは胃!?」

胃…食べたものを胃液で溶かす器官。
それくらい僕でもしっている。

「ここにいたら、ぼくは…。なんとかして早く出ないと!」

僕は思い切り壁に向かって体当たりをした。
…しかし、胃壁はいとも簡単にその衝撃を吸収してしまった。
「うぐ…。じゃあ、入ってきたところから出られるかも。」
ぼくは上を見上げた。だが、かなりの高さのところにあって届かない。

「…どうしよう。このままじゃ溶かされちゃうよ。」

初めて直面する死の恐怖。のうのうと平和な村で暮らしていたライムには経験したことのないものだった。ましてや、生きたまま溶かされて、竜の一部になるなど想像もつかないものだ。

「だしてよ…だしてよぉ。うっ…」
ライムは泣きながら抵抗を続けた。

* * * *

「ふふふ♪よく暴れてるわね。」
獲物のみせる細やかな反抗。それは、ティアにとってとても心地よいことだった。獲物の全てを掌握した陶酔感。ティアは今それに酔いしれていた。それが幸いしたのか、ティアはすぐにライムを溶かそうとはしなかった。この感覚をもっと楽しむために…。

「さて、リンドの所へ帰ろうかしら。あいつが来る前に。」

ティアは大きな翼を広げ空へ飛び立った。

* * 数分後* *

「はぁ…はぁ…!やっと戻って来れた…。」
怪我を治療し、ウルが帰ってきた。だが、そこにはもうライムの姿はない。ティアに喰われてしまったのだから。それを証明するかのように、唾液まみれになった衣服や異臭が漂う水たまりが存在している。

「…くそっ!また僕は村の人を守れなかった。こんな僕に価値なんてあるのかなぁ…?…思い詰めてても仕方がない。まだ消化はされてないはず!今、僕にできることをやるだけだ。」

こうしてウルは独り、リンドのもとへ向かい出した。


* * * *
「ただいま〜♪」
「ティア、遅かったな。ちゃんと足止めは出来たか?」
「えぇ。これで数時間は遅れるはずよ。」
「…数時間!?おい、それ大した足止めになってねぇぞ…。」
「しょうがないじゃない。私、あなたみたいに魔法強くないもの。いくらウルが弱ってるとはいえ、神を止めるのはこれが精一杯よ。」
「…そうか。で、ティア。お前あの小僧つまみ食いしただろ。」
「ギクッ!やっぱりばれちゃうか…。」
「当たり前だろ。腹が微妙に膨らんでいる。それに…。妻の考えていることくらいわかる。」
「怒ってる?」
「いや、特には。さぞかしその小僧は美味かったんだろう?できれば俺も喰いたかったが別にいい。…でもまだ消化するなよ?約束の時間までは…。」
「そういえばあなた。あの子どうしたの?見当たらないけど。」
「とっくに丸呑みしたさ。今は抵抗もやめて俺の腹ん中で寝てるぜ?」
「あらあら。あなたは我慢っていうのを知らないんだから♪」
「ククク。お互い様だな。」
余裕が混じった笑みが二人の間にこぼれた。




〜そして、約束の時間〜







更新遅くなってすいません!
僕のことなんてみんな忘れてるだろうな…w
<2012/11/11 14:32 ピヨ助>
消しゴム
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