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守る物 − 旧・小説投稿所A

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守る物

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* *〜アルト目線〜 * *

私は孤児だった。物心がついた時には親と呼べる人はおらずただ生きる為に道をさまよっていた。
そんなある日のことだ。この村に辿りついたのは。村の人々は私を温かく迎え入れてくれた。「アルト」という名前もつけてくれた。私はただ普通の生活を送れるだけで幸せだったんだ。

しかし、その幸せはもろくも崩れ去った。
村の人は殺され、喰われ、私はその竜に捕まって今、巣に運ばれている。

「くくく。さっきまでの威勢はどうした。暴れてもいいんだぞ?どうせ、逃げられねえんだからなぁ。」

「…私を連れていってどうする気?食べたいならあの場で食べればよかったじゃない。」

「くくっ。お前もわかってないなぁ。あの場で貴様を喰ったところで何の面白みもないじゃねえか。恐怖、焦り、絶望。それらは最高の調味料となるんだぜ?。どうせウルは、我が巣に来ることは出来ない。来れたとしても…くくくく。…お、巣についたぞ、小娘。」

ズシィィィン!!
どうやら、本当に着いたようだ。
私の目の前には、数多くの動物の骨、まだ真新しい血がついた岩があった。

すると、突然尾から解放された。

{え、自由にさせてくれるのかな…}

なんて一瞬でも思った私が愚かだった。

地面からいきなり太いツルがはえてきた。
ツルは私の手足に巻きつき自由を奪う。体を動かそうにも動かせない。

「どうだ、動けないだろ。俺の魔法で作ったツルは。」

「ゥグッ!フンッ!!!…はぁ…はぁ。」
どうあがこうにもツルを切ることは出来ない。

「元気がいいな。…どれ。」

そういうと、リンドが私に鼻を近づけてきた。私の匂いを嗅いでいるのか。

「うむ。やはり、獣人の子というのはいい香りがするな。…思わず喰いたくなっちまう。」

 ベロォォォォッッ…

「ヒャッ!…く…臭っ!」
突然私の顔をゆっくりと舐めてきた。
その唾液の臭気に思わず声がでてしまった。なんとも形容し難い悪臭が顔の周りに漂う。

「……んめぇ。ここまでウメェとは予想外だ。」

リンドは恍惚とした顔をした。

「…やめてよ!3日後までは食べないんでしょ!……お…おえっ…臭っ…」

しゃべった拍子に唾液が口に入ってしまった。…最悪だ。

「俺は、そうは言ってはいねぇぞ。3日後に返すと言っただけだ。あと…俺の唾液はそこまで臭えのか。俺たちには、口臭を気にする文化はないからなぁ。くくっ。」

「…くっ。それでも私を食べたら返せないでしょ!」
「くくっ、必死だなぁ。安心しろ。3日後までは溶かしはしねぇ。ただ、俺の胃袋に入っていてもらうだけだ。」

リンドは悪魔をも彷彿させる残虐な笑みを浮かべた。

{…ライム、ウル様、早く来てよ…!}

今、アルトの命をかけたゲームが始まった。



感想やアドバイスを頂けたらうれしいです!
まだまだ未熟な文章なのでよろしくお願いします。
<2012/10/05 21:07 ピヨ助>
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