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舟の向こう − 旧・小説投稿所A
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舟の向こう

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戦況は凄まじいものだった。シャドウメモリは影から色々生み出せるらしく、裏はダークポケモンを大量に作りだして攻撃してきた。

「うわあっ…」

カイオーガの実力からして、それらのダークポケモンは簡単に倒せた。しかし数が圧倒的に多く、この部屋の彼方までそれらで埋め尽くされていた。

「えへ…でも…負けない!」

ハイドロポンプでは追いつかず、とうとう奥義を繰り出すカイオーガ。

「オーシャンウェーブ」…彼だけが使える最強の技だ。なみのりとは比較にならない大津波が、一撃で全てのダークポケモンを倒した。裏はまもるを使い、難なくその攻撃を回避した。

「あーあ…これじゃキリが無いですね…なら一発で倒してあげましょう…」

裏は投げ捨てたケースから、赤茶けたメモリを抜き取る。


カチッ…「RANS(槍)!!」

ドシュ…ドドドドド…!!!

裏の手から無数の槍が飛び出し、カイオーガにドスドスと突き刺さった。

「ううっ…なら…ボクだって…!!」

血を流しながら水球を作り、目くらましに裏の足元に撃ってから、カイオーガはメモリケースごと奪い取った。

「なっ…か、返しなさい!」

「やだね…これだ!」

再び槍が飛んできたが、その前にカイオーガはメモリのボタンを押していた。




カチッ…「TIME(時)!!」

ゴォーーーーーーーン…

「な、なに…!!」

時計台のような音が鳴り響き、向かってくる槍の動きが鈍くなった。タイムメモリはカイオーガ以外の時間を遅くしたのだ。


「くそっ…か、体が…」

「はぁ…はぁ…うっ…」

カイオーガは傷を押さえ、地面に手をついた。ダメージが、雪崩のように襲いかかる。

「はぁ……ぐっ…ボクは…」

滴り落ちる血をこらえながら、1本の赤いメモリを手にとり、カイオーガは立ち上がる。

裏は時間が止まって動けないため、うんうんと唸り続けていた。迫ってくるカイオーガを罵倒し、ののしった。

「来るな…私は…私だけのものだ…あなたに奪う権利はない!」

「それはキミもじゃないか…負けたら終わり…多分それがここのルールなんだ。だから…」

向かいあう2人のカイオーガ。その片方の手には…



カチッ…「VORE(捕食)!!」


<2011/05/15 15:45 ロンギヌス>消しゴム
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