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コロコロ……

「ん？」

ポケモンリーグ…薬品庫。むっとした空気が漂う、湿気の多い部屋だ。入れるのは僕と一部の人だけだが、ポケモンの治療に役立つ様々な薬剤が置いてある。

その整理中に高い棚から落ち、割れもせずにこっちへ転がってくる１つの薬瓶。とりあえず拾い上げ、ラベルを見る。



ロンギヌス「うぇ…埃っぽ………えーっと……よ、読めない…」

よっぽど古い薬なのか、シールにはかすれた文字しか描かれておらず、効果どころか名前も分からなかった。まあ…5代前のチャンピオンも使ってたんだもんね…この部屋
。

仕方がないので上に持って上がって捨てる事にした。ちょうど整理も終わったので、古ぼけたドアノブに手をかける。


ロンギ「そろそろここも改装しようかな……あ、賞金稼がないと無理か。」

バタン。





～チャンピオンルーム～


カイ「あー！ルギアが僕のみかん取ったぁ!!」

ルギア「ふん、これは元々私の眼中にあったものだ。お前はミカンジュースでも飲んでろ！」

ラティ「まあまあ……２人とも落ち着い…」

ルギア「うるさい。火事と喧嘩は江戸の華だ。」

ラティ「…ここイッシュですけど。それに今は犯罪扱いですよ？」

カイ「そーだそーだ。だからこれはボクの♪」

ルギア「あっ、汚いぞ！？」



ロンギヌス「はぁ……う、うるさい……」

部屋に入った途端に聞こえる罵声、悲鳴、討論。ほぼ毎日のように繰り返される出来事に、思わず一息つく。

何が悲しくて朝っぱらからみかんの取り合いなん…あ、そう言えばルカリオは？

ぐるっと辺りを……いや、全員のお腹を見渡す。よくあいつ食われてるからな……可哀想に。





いない…大声を上げて話に割り込んで問いただす。


ラティ「ルカリオさんですか…?トレーニング室で見かけましたけど…」

ロンギ「あ、そう。ならいいんだ…うん。」

カイ「マスターみかん～。」

ロンギ「１日1箱食っててある訳ないだろ！」

ルギア「なっ、失礼な…今日は２…」

ロンギ「もう買わない。」


ショック顔の２人はさておき、テーブルへと向かう。ポケットに手を入れ、薬瓶を置いた。


ラティ「ん……これ何です？」

ロンギ「これ？ああ……薬庫で見つけた。後で捨てるから触らないで？」

ラティ「え……はi…」
カイ「なになにこれー♪」

こいつがいたか…とりあえずここは持ち去るしかあるまい…


サッ…

カイ「あれ？持ってっちゃうの？」

ロンギ「え…あ、うん。危険だしね…ハハ…」

ラティ「……?」

僕はさっき入ったばかりのドアを押し開き、ひやっとした廊下へと出る。温度が急に変わり、体が身震いした。


ロンギ「じゃあちょっとルカリオのとこ行ってくるから…」

ラティ「……はい。」


血赤いラティオスの視線が、去る僕の背中を疑るように舐めていた。

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