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夢。 − 旧・小説投稿所A

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夢。
− 門 −
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上を見上げてみる
本棚はどこまでも上に伸びている
校舎を見たときと同じ印象を受けた
だがしかし何故だ…?
図書館は一階分だけの広さの筈……何故こんなにも天井なるものが見えない…?
「ん……あれは…」

良く見れば本棚の隙間に 林檎の木につたが絡み付いたような不思議な模様が描かれた取っ手のない“門”のようなものが微かに見える

何だろう……と本を取り出してもっと良く見ようとすると…

スッ…

パンッ☆!

袋から空気を抜いた時のような音がして
フッと“門”は暗闇に消えた
……!!

驚いて、それでも気になって右手を隙間にそっと…入れてみた
そうするとやはり本棚の裏に何か空間があることは分かった…
まっ暗だと分からないからとたまたま持参していたペンライトで照らしてみるがーー
光さえ通らないのか
全く何も見えない…真っ暗だ
光は空気中を直進する性質を持っているが、
青白いLEDのペンライトの光は隙間に入って少し先の所で途切れている…

不思議だーーー


「本が散らかってるよ」

ルーズさんに言われ、周りにずさんに積み上げられた本の山をせっせと片付ける
「……すいません」

「片付けてくれたから、いいわよ。ところで何か探してるの?」

「いや…奥に“門”みたいなものが見えて…それで……その…気になって…」

「え?…あの門が見えるの…!?」

「え…あ、はい…見えました」

「普通竜にしか見えない筈………まぁいいや、連れてってあげるね」

「あ、あぁ有り難うございます」


ブォンッ……

「うわっ…」

ふわっと体が浮き上がり、上へと上がっていく
ラティアスのサイコキネシスである


真上にあった雲が目の前に迫ってくる…
雲は気体だからぶつからないと分かってはいるが、ここまで接近したことはなく、流石に少し怖い

「うわっ…!」

ぼふんっ

「あ……」

普通に綿の壁でも突き抜けたかのようにぬけた


「着いたよ。」

「……」

「着いたよ!」

「あ、あぁああすいませんぼーっとしてました」

「……ここが貴方が見えていた“門”でしょ?」

「あ……はいそうです」

「この先は見えた者にしか開けられないの」

「え?どういうことですか?」

「この“門”の先には
lost memories ‘失われた記憶’があるの」

「失われた記憶?」

「そう…ここは記憶をなくしている者が来るべき場所なの

記憶を取り戻しに…ね」

「それじゃ…俺が無くしている記憶がある…と、そういうことですか…?」

「そう…ね。この“門”が見えたからには、必ず記憶が抜けてる筈……何か思い当たることはない…?」

「……家族のこと…かな」
「家族?」

「うんまあ…家族がいつからいなくなったか何故いなくなったか分からないんだよな…けど…」

「けど?」

「けど…何となく家族がいたことだけは覚えているんだ…」

「その先を…知りたい?」
「……知りたい」

「じゃあ門の前に立って家族を思いだしながら念じて…‘戻ってこい’……って」


俺は門の前に立ち
微かに心の中に在るほんの…僅かな一握りの記憶を…家族を思いだしながら…両手を合わせ念じた…
“記憶よ…戻ってこい”とーーー
ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーーー
暫し沈黙が続く
黙々と念じ続けていく
……すると

ギイイィ……

微かに門は開き始め
白く眩い光が漏れだし

パアアァァァーーーー

俺とそこにいた竜二人を 三人を包み込んだ

「な、何だうわああぁーーーー」

ギイイィー

門は音を立ててゆっくりと閉じていく
隙間は小さくなって行き それに伴い光も小さくなって行く

バタン!!

光は消え

門は閉じた


次ぃ

回想に入りま〜す

( ̄O ̄)



<2012/09/23 03:12 イオン>
消しゴム
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