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SPEC−甲〜召の回− − 旧・小説投稿所A

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SPEC−甲〜召の回−

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深夜、留置所にいるはずの冷泉は、眠っているところを叩き起こされ、ボックスカーの最後部に乗っていた。
「こんな時間に、どこへ?」
冷泉の前の席に座っているのは、公安部長の津田助広(つだ すけひろ)である。

「霊能者なんだから占ってみろよ」
そう言ってレモンを1個、冷泉にポイッと投げてよこす。

冷泉は目を閉じて、レモンを丸かじりした。
「ラミパスルルルルル」
呪文を唱えたあと、ハッとして目を開ける。
「俺を殺す気か」

「だったらどうする」
津田はさわやかに笑った。

だが冷泉はそれ以外にも恐ろしいものを見た。

   *

野々村は雅ちゃんに呼び出され、若者たちでいっぱいのカフェにいた。明らかに浮きまくっている。というか、どこからみても援助交際にしか見えない。

「いやあ。就職したって聞いたけど、まさか、警視庁とはね」

「で、いつになったら結婚するの?私たち」

「いや。だから、離婚がすすまなくて......ハハハ」

「ハハハじゃねーから」

野々村は怯えながら、シェイクをすすった。

   *

パーティー当日、瀬文は朝早くから狙撃対策に動き回っていた。神経をいつも以上に研ぎ澄ましていると、突然、バン!!と銃声のような音がした。

「!」
すでに手は銃を握っている。素早く出所に目を走らせると、何のことはない、当麻のキャリーバックが倒れた音だ。

あの女―。瀬文は頭から湯気を出しながら、銃口を当麻の眉間につきつけた。

「ひゃ!!」

「俺の仕事の邪魔したら、容赦なく撃つぞ」

「瀬文さんに用はないんすよ。トイレが見つからなくて」

「どんだけ方向音痴なんだよ、このトンマ!」
会場に響き渡る大声で怒鳴りつけた。当麻はオロオロしながら瀬文の指さす方へ駆けて行った。


<2012/04/24 01:14 mt>消しゴム
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