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SPEC−甲〜召の回− − 旧・小説投稿所A

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SPEC−甲〜召の回−

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予定通り、当麻は警視庁から『中部日本餃子のCBC』に直行した。
「明日も餃子の匂いさせてやる。ウマ。すいません、追加、10人前」

「財布忘れてない?」
親父が心配するのも無理はない。すでに10人前が当麻の胃袋に収まっているのだ。

「ありますよ。カバンの中に......」
箸をくわえて、ごそごそ中を探る。
「あれ、ない」

「今度こそ、逮捕してもらうよ」

「下に落ちてるよ」

その声に振り返ると、背の高いイケメンがにっこりした。
親切にも、
「ほら」
とキャリーバックの下の財布を拾ってくれる。

「・・・・・・何しにきたのよ」

イケメンの名前は、地居聖(ちい さとし)。当麻の大学時代の同級生かつ、元カレである。

「大学の研究室が終わってメシ食いにきたんだよ。すみません。餃定一つ」
注文しながら、自然に当麻の向かい合い側に座る。

「フーン」

「怪我の具合はどうよ。結構長引いてんな」

「余計なお世話」

「危ないマネすんなよ」

「てか、仕事だし」

「はい。餃子10人前」
親父が大皿いっぱいの餃子を運んできて、当麻は再びガツガツ食い始めた。

「ウマ。バカウマ」

「なあ。俺たちやり直さない」

「やだ。ウザい。しつこい」

「そ」
いつもの事らしく、地居は落胆した様子もなく、当麻の餃子をひょいっとつまんだ。

「あ、食うなよ」
そのとき、テーブルに置いてあった当麻の携帯がピピピ......と鳴る。

「仕事?」

「予言の時間」
9時ぴったりに、カバンから封筒を取り出し開ける。

『運命の人と再開。餃子をガツガツ食べて吉』

「・・・・・・」

「当たった?」
地居が首を伸ばして覗きこもうとする。

「全然。100%ハズレ」
見られる前に、当麻はくしゃっと予言の書を丸めた。



<2012/04/23 01:01 mt>消しゴム
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