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ICE AGE − 旧・小説投稿所A

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ICE AGE

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「フフ…では失礼。」

「んっ…?うおぉっ…!?」

目にも止まらぬ速さで、氷竜は腹に敷いたリドルを掴み取り、飴玉のように口へと放り投げた。竜種だからこそできるのか、スピードは新幹線並み……いや、漫画並みだった。

リドルは気づくのに時間を食ったが、傾けられる喉に逆らった。足先を牙へと引っ掛け、すぐに落ちるのを防いだ。

「むぅ…いい加減にしろ…しつこいぞ。」

「演技だったか……ならもう命は無いと思え!?」

「私のセリフだ。」

舌を稼働させて、無理やり牙から足を離させる。頭から食われた獲物は全員そうする事ぐらい、氷竜は既に知識として得ていた。喉がぷくりと膨らむ。


「むぁぅ……く…だが胃につけばまた…」

「もう貴様にそんな事はできない…私が保証する。」

その言葉にリドルは一瞬ヒヤリとしたが、虚勢を張っているに違いないと考え、グニグニと慣れた動きをする食道に身体を任せた。全ては…胃へと着いてから…










「クク…精々自己過信しているがいい………お前の命は…」

氷竜はニヤリと暗笑すると、攻撃で流血気味の左手を上げる。


そこには…乾いた唾液がこびりついたカードケースと…特殊加工により何の影響もない金のライバーが、巨大な手には不釣り合いに握られていた。

「私のものだ…フフ…♪」














ギュポゥ……ベチャッ…

「ぬ……むおおっ…!!」

またしても噴門を抜け、胃底へと叩きつけられるリドル。しかし彼の瞳には自信と、これからする事に対する期待感が輝いていた。


「馬鹿め…学習しないでまた私を呑むとは……今度は手加減しない!」

損傷した胃壁を見つめ、フンと鼻で笑うリドル。ゆっくりと映画の英雄ぶって立ち上がると、再び光球を作りだそうとケースへと手を伸ばした。






「せめてもっと苦しませてから死なせ………ん?」

腰やベルトのどこを触っても、ケースらしいものは手に触れない……触れるのは濡れた軍服だけだった。


「フフ…どうした?探し物か?」

「うるs…そんなはずがあるか……確かにあったは……な、なに!?」」

腰どころか、腕につけたライバーさえ見当たらない……ほんの10分前には確かにあったというのに。

「嘘だ……へへ…そうだ、落ち着け…どこかポケットにしまったんだ…そうだどこk…」

「RIDE……」


「え……?」

胃壁の向こうから聞こえる、3年間聞き慣れた機械的な声。まさか……

しかしその「まさか」を叫ぶ間もなく、胃壁がオレンジ色の炎に包まれる。驚愕し炎を避けようとするが、肌に触れても熱くはなかった。


「ああ……いったい…」








シュウウゥゥ……

胃壁は30秒程燃え続けると、少しずつ炎は
消えていった。そして消火した胃壁の様子に、リドルはあんぐりと口を開ける。


傷が治っている……何枚ものカードを使って攻撃したというのに、あの炎はたった30秒で…その損傷を消してしまった。いや、というか攻撃前より活性化してる気がする…


「そんな……バカな!こんなカード私は持っていな…」

「フ…どうせ回復用のカードなど使ったことが無いだけではないか?攻撃カードばかり擦り切れているというのに………このカードは新品同然だぞ?」

やはり氷竜がライバー、カードケースを手にしていた……そして回復させるカードを使い、胃壁を治したのだ。

「バカな……罠だと…いつの間に…!?」

「ああ…貴様がハアハア言っているときに決まっているだろうが。私のさぞかし気持ちいいお腹でな?」

今度は氷竜がリドルを鼻で笑うときだった。いや、それが本来だろう…

氷竜は嬉しそうな咆哮を上げると、ライバーを小指へと取り付けた。








「さて……?」

「ひ……ま、待ってくれ…!!」

再び艶やかな色を取り戻した胃壁が、「よくもやったね」と言わんばかりに張りついてくる……元気に蠢く風貌は、リドルにとって計り知れない恐怖だった。


「ま、待て……話を聞け…そのカードは私のものだろう?それを使うなんて…は、ず、ずるいだろう?」

「………………」

子供も呆れる言い訳に、氷竜は哀れみのこもったため息をつく。


「ハァ…だからなんだ?」

「だ、だから………あ……えっt…」

「いつまでもそうやって時間稼ぎするつもりじゃないだろうな。」

「え…………」


<2011/05/15 15:22 ロンギヌス>消しゴム
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