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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A

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狼と狐のち日常
− 『い、胃袋は嫌だ……(桜の五光を出す)』 −
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(よし……やってやる!)

僕は意を決して、桜の五光を場に出す。

「ほぇ? 主が持っておったのか」
「そうだよ」
「ふふ、儂に喰われるお膳立てをしてくれるんじゃな?」

その時ピクリ、と椛の手札が一枚動いた。
まさか、桜の札さえも持っているのだろうか?

「おっと、儂とした事が♪」

ゆっくりと手札を尾で隠す椛。
確信犯め……絶対にわざとだろう。

「儂に免じて、それを戻しても良いぞ♪」

なんと言われようとも止めない。
あの様子では、出さなくても牡丹の札でトドメを刺されるだろう。
そして、運命の一枚。
山札に手をかける……

「無駄じゃぞ♪ 儂のおやつになるのじゃ♪」

山札を一枚返す……

 ー桜のカスー
 
「やっ……たぁぁぁぁっ!」
「なんと……儂の負けかえ」

これで桜の五光は僕の下へ。
菊の杯x桜の五光で役ー花見酒が出来上がり
この勝負は僕の勝ちとなる。

「’こいこい’はせぬか?」
「しないよ〜」

嫌みをこめて、言葉を返してやる。
椛は短く息をはき、手札を投げ捨てた。
その中には……
牡丹、桜、薄の五光が混じっていた。
確実に山札から引かなければ敗色濃厚。
胃袋監禁の未来が待っていただろう。

「あ、今夜は僕の布団だからね?」
「はいはい、分かっておる」

面倒くさそうな椛の溜息。


……たまにはいいよね?





<2012/04/01 21:44 セイル>消しゴム
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