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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A

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狼と狐のち日常
− 『ちょっとフラウの面倒を見よう』 −
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「すみません……マスター」
「いいよ、いいよ。こっちこそごめんね。無理に付き合わせちゃって」

フラウはすっかり酔ってしまっていた。
すでに紅潮し、目の焦点も覚束ない。
最初に飲んで、咳き込んだあの少量で。
流石は水竜とでも言うべきか、水分にはかなり敏感なのであろう。
東雲がフラウを背負い、取り敢えずリビングに戻ろうとしていた。

「わわっ……」

突如、東雲が体勢を崩し地面に倒れてしまう。
原因は背負われているフラウが体重を前方にかけたからだった。

「ふ、フラウ……?」

首の可動範囲ギリギリまで後ろを向く東雲。
光に包まれるフラウ。
次の瞬間には竜人のフラウは水竜、本来の竜の姿に変身していた。
けれども、酔った状態のまま。

「マスターが美味しそうです……もう……ボクは我慢できません」
「はぁ!? ちょ、ちょっと待って!」

地を這う形で逃げ出そうとする東雲だが、背負った事が仇になった。
その状態で倒され、その上変身された為に下半身が竜体の下敷きになって
逃げる事は叶わない。

「マスターも酔ってくれますよ……ね♪」

ばくっ♪

フラウは襲いかかる様に東雲の頭を咥え、吐息を存分に嗅がせた。

「んんんんんっ!? っあ……」

酒臭い吐息。その中で仄かに香る爽やかな芳香。
それこそが危険であった。
体内で生成される媚薬。
椛の媚薬とは違い、こちらは被食魅了の効果を持っていた。
水竜はこの媚薬を気体として吐息に混ぜる事で
獲物自身から喰われに誘う事が出来るのだ。
東雲はこれを嗅いでしまったのだ。
最悪の状態。効果の薄まらない口腔内、至近距離で。

「フラウ〜、僕を食べて♪」
「ふふっ、頂きますね〜」

今度は牙同士で糸を引く程に巨口を開き
東雲に見せつけた。
完全にフラウの支配下に堕ちた東雲は、喰われる悦びに体を震わせている。

ばくん! ぐちゅぐちゅ……

一口で口腔内に収め、東雲を舐め回した。
舌で舐め転がし、唾液を絡める。
舌を巻き付け、上下に扱き味わう。
口蓋に押し付け、蹂躙する。

「っあっ! んん! んぁ!」

服の隙間に舌先を滑り込ませ、性感帯を激しく舐め立てる。
足先、手先まで余す事無く舐め回し、責め立てる。

「呑み込んでしまいますよ〜」

フラウが天を仰ぎ、口腔に傾斜をつける。
唾液な東雲は素直に、舌上を滑っていく。

……ごくり♪

いとも簡単に、東雲は丸呑みにされてしまう。
フラウの喉がぷっくりと膨れ上がった。
獲物である東雲だ。
自ら喰われた獲物の温もりにフラウは酔っていた。

ずぶずぶ……ぐじゅっ……

東雲が完全に食道を嚥下され、胃袋に落ち込み
喉の膨らみは腹に呑み込まれ、そこを僅かに膨らませた。

「マスター、美味しいです♪」

その膨らんだ腹辺りを妖しく撫で回し
フラウはのそりと歩を進め始めた。
胃袋内では東雲が喘いでおり
その喘ぎにくつくつと嬉しそうに笑みを零しながら。


<2012/03/28 12:23 セイル>消しゴム
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