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魔女達の晩餐 − 旧・小説投稿所A

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魔女達の晩餐

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フローラの現状は、艶めいた銀毛で身を包んだ獰猛な獣。
双眸の色は、紅、蒼、翠……計、六つものの獣眼が獲物を品定めしていた。
その隣で魔女トレゾアはすでに獲物を味わい始めていた。
肉質は非常に柔らかそうで、すぐに牙を突き刺すような事はせず
入念、かつ、執拗に舌を這わせ、獲物を堪能しているようだ。

「そうだな……私は猫、狼、ライルを貰うぞ?」
「3匹か、狡いぞ」
「この姿に、空腹だ。仕方ない♪」

反論を交えるトレゾアだが、喉を優しく鳴らしている。
それを見れば、決して怒りを抱えている訳ではない事が悟れる。
地獄獣は、数多くの監禁された子供の中から
ラッシュ、ベル、さらにはトレゾアのパートナーである
ライルを選抜し、三つ首で咥え上げる。
そして、足下に下ろすとそれぞれで各々を見据え……

「まずはお前は、真ん中で喰ってやる♪」

見据えた先はベル。翠の双眸が優しく見つめていた。
しかし、本人には未だに拘束され、視界まで奪われている状態。
フローラの表情は見る事も出来ず、優しく抑えられた声色でも
視界が暗闇では、恐怖も拭えないと言うもの。

「おい、猫。楽に喰われると思うなよ?」

次に言葉を発したのは、右の首。
目は紅。口調も厳しく、どこか荒々しさを感じさせる。

「どっ、どうしてニャ!?」
「……肉が硬そうだ」

ラッシュが反論……出来なかった。
遮る様に、左の首がライルを舐め上げ、意識をそちらに持っていった為だった。
いくら三つ首とは言え、本体はフローラ。
三つに意識は分裂していないようだ。

「ひゃっ////」
「ふふ、美味そうだが、姐さんのペットだ。手荒な真似はしないさ」
「え……うん」

’ペット’という、なんとも言えない言葉に
ライルは怪訝そうに、しかしどこか嬉しそうに微笑み返した。

「優しく食べてやる♪」

女性らしい優しめの表情を浮べるのと
同時に、真ん中の首が鼻先でベルを押し倒した。



「さぁ……ベトベトに穢してやる」





<2012/04/10 19:20 どんぐり×セイル>消しゴム
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