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魔女達の晩餐 − 旧・小説投稿所A

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魔女達の晩餐

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太陽はすっかり沈み、月が姿を覗かせ
外界には夜の帳が落ちていた。

「何をやっている? 遅すぎるな……」

数刻前に出かけたソーマがいつまでたっても
帰宅する気配がない。
約束の時間はとうに過ぎている。
夕方頃に帰宅する約束を交わした筈だった。
それなのに、ソーマの気配
連絡すら耳に届いていない。
以前と比べて、すっかり綺麗に整えられた部屋。
色鮮やかな青のクロスをひかれた
テーブルには、豪華な料理が並べられていた。
今日はソーマの誕生日であった。
その為に、フローラは極秘で食材を買い出し
何年ぶりかにその腕を振るい
ご馳走を作り上げては、ソーマを祝おうとしていたのだ。
しかし、当の本人は姿を現さない。
最初こそ、ソーマがフローラを驚かせるつもりだと
フローラ自身も思案していたようだが
数刻も待たされては、心配になると言うもの。

「私も随分と甘くなったようだな……」

今まで、’獲物’と見なしてきた人間を手許に置いている。
当たり前の様に、一縷の不安を抱える事になったのだ。
これを、甘いと言わずして何と言う。
あの’人喰い狼魔女’と呼ばれた存在が……

「はぁ……姐さんに聞いてみるか……」

フローラは藍色のエプロンを外し、椅子の背に掛ける。
そして、玄関の物掛けに掛けてある黒法衣。
魔女の証である漆黒の無慈悲なる法衣を。
狼腕によって、玄関が開け放たれ……
豪風によって荒々しく、閉じられる。




<2012/04/02 17:48 どんぐり×セイル>消しゴム
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