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海神 〈6〉 〜え…犬……〜 − 旧・小説投稿所A

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海神 〈6〉 〜え…犬……〜

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「…ヤミラミ、戸締りした?」

「あ、あぁ、ルギアさんが出られないようにはしたが…
 ボスの“サイコキネシス”で押さえつけられないのかァ?」

「ごめん、ルギアがああなると ボクでも手がつけられなくて…
 っていうか、なぜか“サイコキネシス”が全然効かないんだよね…」

とりあえずは 組織の大半を処刑部屋に集めたが…
この大人数を入れるとなると、いくら広い部屋だとはいえ、
食われる可能性の無いハブネークやギラティナをボスの部屋に置いても
かなり窮屈になってしまった

「…それに、いいのかよ?
 見つからなかったヤツは 置いてきちまったぞ…」

「大丈夫だよ、4、5匹くらいは…
 ギラティナいるから 蘇生できるし…」

「オイオイ…」

「それにね、あの状態のルギアは 空腹になればなるほど力が増してくから…
 その4、5匹が食べられたとしても、4時間もしないうちに この扉ぶち破られるね…」

呑気に放ったカイオーガの言葉で 部屋にいた全員が固まってしまった…

「つまり、生贄が必要になってくるねぇ…♪」

いくら蘇生によって生き返ることができるからといって、
ルギアに食われることが どれほど恐ろしいことかなど
ここにいる全員が 身にしみるほどわかっていることだった
自分が生贄に選ばれないことを、ただ祈るほかない…









「……なんだ…?
 急に静かになったような…
 …だ、誰もいない……」

トレーニングルームで一人特訓をしていたコジョフー
少し歩いて周りを見回してみるも、当然ながら物音ひとつない…
嫌な予感と共に だんだんと恐怖が増す…

「……」

足を進め、書物部屋にたどり着いた
中から物音はしないが…
恐る恐る扉に手を伸ばす…


「……うっ…」

部屋に足を踏み入れた瞬間 臭う獣の息のような臭い…
そして それに血の臭いも混じっている気がする…
瞬時に この場所の危険を悟り、
急いで 身を翻して書物部屋を出ようとした… が、

「ぅわっ…!?」

突然、頭と肩に何かがのしかかり、
そのままうつ伏せに 押し倒されてしまった
相手の姿を確認することはできない…
起き上がろうと試みるが、押さえつけている力のほうが 数十倍は上らしい
微塵も床から離れることができない

“ぐるるる…… べろぉぉぉ……”

「ぁあうっ…ひぇぅ……!!?」

おそらく相手の舌であろうモノが 背中をなぞった
これ以上ないくらい ねっとりしていて不快だ…
それに加えて、自分の意思で出しているわけでもないのに、
舐められるたびに 情けない奇声が口から漏れる

「くっ…… このォ…!」

唯一自由な足をバタバタさせて悶えるが、
相手が応えている様子はまったくない…
それどころか、舌が刺激されて 更に涎の分泌量が増すだけだった

“…ぱくっ……”

…鬱陶しいと思われてしまったのだろうか、
腰辺りまで銜えられ、ついに身動きが取れなくなってしまった

「…だっ だれか!
 助けてくれぇぇ!!」

力の限り声を出すが、やはり近くには誰もいない…

「はぅ…むぐっ…!!」

巨大な手のひらで 勢いよく相手の口の中に押し込まれてしまった
拘束は解けたが、今更自由になったところで 何一つできることなどない

「あぅぁっ…! い、嫌だ!
 助け…」

“…ゴクン……”



そして、何もできないまま呑み込まれた……






生贄…
わかる人にはもうわかってるはず…♪
<2012/02/18 15:18 ギン鶴>
消しゴム
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