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【保】神々の戯れ〜初めて出会った日〜 − 旧・小説投稿所A

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【保】神々の戯れ〜初めて出会った日〜

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だが兎モドキの方が一枚上手であった。

「あらよっと」

水神が頭を下げて突進してきたのを逆手にとり、ピョンと跳躍してさらに水神の頭を踏み台にして飛び越えてしまったのだ。
兎モドキの機敏な動きに対応しきれず、鼻先を岩肌に強打してしまった。

「ーーッ!」

水神はあまりの痛みにその場でのた打ち回る。
兎モドキは一瞬だけ、ほんの一瞬だけ罪悪感を感じたが捕まったら何をされたら分かったもんじゃないのでそのまま逃げていった。
しばらくして、水神はムクッと起き上がった。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「う、うぐ、悔しいーッ!あんな兎の精霊だか妖怪だか分からないような奴にからかわれた挙げ句に出し抜かれただなんてェー!!」

竜族のプライドをズタズタにされた水神は、悔しさから何度も何度も足を踏みならし、しまいには拳で地面を何度も殴った。

「はあ、はあ……。グスン、今日は厄日だ」

水神はとぼとぼと外へ向かう。
岩山からそう遠くない場所に湖があった。
水神のお気に入りの場所の一つである。
そこに行ってこの行き場の無い感情を鎮めようと思ったのだ。

「それにしてもあの兎モドキはどうやってこの中に入ったんだろ?この岩には一応結界を施してるのに……。あれ?重いぞ」

入り口の岩を退かそうとしたところ、いつもよりも重かった。
水神が思いっきり押してようやく岩が動いた。
次の瞬間、大量の雪が洞窟に傾れ込んでくる。

「あっ、私がさっき暴れたせいで雪崩が起きちゃったんだ」

おそらくつい先ほど暴れた衝撃で雪崩が発生して入り口を塞いでしまっていたのだろう。
これからは気を付けないと、と思って外へと出た。

「あれは何かな?」

湖に向けて飛び立とうとしたとき、岩山の麓に不自然なものがあるのが見えた。
よく見ると微妙に動いているようだ。
まさかたまたま麓を通りかかった動物とかを巻き込んだのでは、と水神は思う。

「大変だ」

水神は大急ぎで滑空して岩山の麓に向かった。
だが近づくにつれてそれが一体何なのか分かってきた。

「あの兎だ……!」

そう、おそらくはあの兎モドキであった。
『犬神家の一族』で有名なあのシーンのように足だけが出た状態になっていて、バタバタと足をばたつかせている。
どうやら雪崩に巻き込まれて上半身だけ埋まってしまったみたいだ。


水神は右手でその足を掴むと、そのまま引き抜いた。

「助かっ……」

兎モドキの顔が一瞬で引きつった。
そりゃそうだ。
目の前につい先ほどからかって激怒させた相手の顔があるのだから。

「あは、あはは……」

兎モドキはそっと腰に手を伸ばしたが、そこに自分の愛用する剣は無かった。

「捜し物ならここにあるぞ」

水神は左手を開いてみせる。
そこには兎モドキの使っていた剣があった。

「い、いつのまに!?」

兎モドキが初めて動揺したような態度を見せる。

「貴様が埋まっていたすぐそばに落ちていたのだ。さて、今度は逃がさんぞ」

水神は不敵な笑みを浮かべた。

「さあどうしてくれようか。思い切って八つ裂きか、それともジワジワとのしかかっていって潰すか、あるいは水の牢屋に閉じ込めて中を水で満たして溺れさせるという手もあるな……」

「あの、もう少し軽い罰を……」

兎モドキはおずおずと申し出る。

「何を寝呆けたことを。貴様は絶対に許さん!竜族を愚弄した罪は重いぞ。その罪の重さ、身を以て知るがよい。楽な死に方はさせないからな!……そういえば貴様の名を聞いてなかったな。名を名乗れ。ついでに死ぬ前に言っておきたいことがあったら言え。聞いてやろう」

水神の手に力がこもり、兎モドキの足から鈍い音が聞こえた。

「月夜兎(ツキヨト)。月の夜の兎と書いて月夜兎だ。と言うか今明らかに足の骨が折れたと思うんだけど」

「ほう、名前だけはなかなか良いな。フム、そちらが名乗ったのだからこっちも名乗るのが礼儀だな。私は水神 水綺(スイジン ミズキ)。この地の水を守護している」

月夜兎の訴えを水神は華麗にスルーした。
水神はしばらく思案にふけっていたが、何かを思いついたのかニヤリと笑った。

「よし、決まった。食らってやる。私の血肉となるのだから誇りに思うがよい。よくよく見ると、貴様はなかなか旨そうではないか」

「えっ!さっき挙がってた処刑方法も嫌だけどさ、食べられるのも嫌なんだけど!」

月夜兎は必死に拒絶するが、それを黙らせるかのように水神が巨大な舌を這わせた。



<2011/12/05 23:07 とんこつ>消しゴム
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