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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A

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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜

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「確かここらへんだったよな」

「何も無いじゃ、ってうわ!」

水神がずってーんと派手に転んだ。

「大丈夫か?」

「うん、平気平気。何か硬いものに躓いたみたい」

水神の台詞を聞いた月夜兎は水神が転んだ辺りを丹念に調べ始める。
すると数秒もしないうちに

「見ぃーつけた」

と月夜兎は口元に笑みを浮かべながら言った。
何だろうと覗き込む水神。
月夜兎は持ってきた懐中電灯で手元にあるソレに光を当てた。

「これは、機械かな?」

「ああ。これはおそらくプロジェクターだな。……ははーん、だいたい読めたぞ。おい、ちょっと元の姿に戻る薬をくれないか」

「えっ、分かった」

水神は懐から元の姿に戻る薬の入った小瓶を取り出し、月夜兎に渡す。
受け取った月夜兎は、それを飲んだ。

「しっかし甘ったるいんだよな、この薬。うぐっ……」

月夜兎は小さなうめき声を上げる。
それと同時に体に変化が起こり始めた。
白い体毛が体中を覆ってゆき、顔が兎のそれへと変化してゆく。
ものの数秒で月夜兎は普段どおりの姿となった。

「で、急に戻っちゃって何がしたいのさ?」

「幽霊の正体を暴くんだよ」

月夜兎はそう言っておもむろに服を脱ぎ始めた。

「ぐるる、触りたい。もふもふ触りたい。……ところで何で脱いだの?」

「まあ見てなって。水神、そのプロジェクターのスイッチを押してくれ」

言われるがままにスイッチを押す水神。

「私の体に何が映ってるか見えるだろ?」

「えーっとね、ああ!」

水神は驚嘆の声を上げた。
何故なら月夜兎の体にはあの幽霊の姿が映し出されていたからだ。

「私の白い体ならスクリーンの代わりになると思ってな」

「なるほど〜。でもやっぱり見にくいなぁ」

「しょうがないだろ。完全にスクリーンの代わりというわけにはいかんだろ」

「いや、そうじゃなくて。幽霊が白っぽいから月夜兎の体の色と同化しちゃってるんだよ。確かに普通はプロジェクターは白いスクリーンに投影するものだけど、これだとスクリーンが黒いほうが見やすいんじゃないかな。これならスーツ姿のときに投影させたほうが見やすかったかも」

水神は月夜兎の脱ぎ捨てた黒いスーツに目をやる。

「ふ、不覚」

一方の月夜兎はわざわざすっぽんぽんになったのにあまり意味がなかったという事実に気付いてちょっぴりへこんだのであった。



<2011/09/27 00:45 とんこつ>消しゴム
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