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「全く、どこにいるのだ？」

　あのジンオウガに教えられたままに渓流をさかのぼって行く。美しかった渓流もだんだんと険しさを増し、いよいよ山に近づいているのを感じさせる光景にやや不安を感じながらリーナは呟いた。
眼下には、あまりに突然に現れた強大な竜を前に慌てて茂みに駆け込むケルビやハチミツをも放り出して洞窟へ向けて一目散に駆け去るアオアシラの姿もあったが、肝心のアカルの姿は一向に見えない。

「む？これは・・・荒れそうだの・・・」

　木々の美しい渓流はとうに過ぎ去り、岩肌も荒々しい渓谷となったころ、空が光る。ほぼ時を同じくして風が強くなった。嵐の前触れである。そして数分のうちに嵐の予感は現実のものとなった。曇天は今や雷雨となり、雷が空と大地を照らす。

「ぬお！？」

　突如として目の前に出現した閃光。落雷による光の柱に大地の女王たるリオレイアであるリーナもこれ以上の飛行は危険であると重い、適当な洞窟なり岩の張り出しなりを探さざるを得なかった。
翼を翻し、反転急降下の姿勢に入ったリーナ。その姿を見つめる視線にリーナは気づくことはなかった。

ミツケタ・・・・

　“それ”はただ一言呟くと嵐の中を泳ぐかの様にリーナの後を追いかけ、地上へと降りていった。

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