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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ − 旧・小説投稿所A

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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ

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◎アッシュの家

「君は騙されているんだ」

同じような台詞を何度も聞かされたオーロラはウンザリとした表情を浮かべた。
目の前にいる男、アッシュに無理やりここに連れてこられてだいぶ経っているハズだ。
今頃セピア様は私のことを捜しているに違いない。
だが果たしてここを見つけることが出来るのだろうか?
出来ることなら私はここにいる、と大声でたすけを、求めたかった。
だがこのアッシュという男は、凄腕のドラゴンハンターだというのだ。
なので迂闊に助けを呼べなかった。

「何度も言ってますけど、そんなことはありません。帰らせていただきます!」

オーロラはついに強行手段に出た。
アッシュに背を向け、部屋を出ようとドアノブに手をかける。
しかし

「待てよ」

アッシュがオーロラの肩をつかんで制止した。

「俺はどうやら君に一目惚れってやつをしちまったみたいなんだ」

「離してください!」

「いいじゃないか!ドラゴンの旦那のことなんか忘れさせてやるよ」

「離して!」

「聞き分けが悪いな君も!」

アッシュはオーロラのことを引っ張り倒した。
まさにその瞬間だった。
ドアが吹っ飛んだ。
と言うか壁ごとごっそりと持って行かれた、という表現の方が正しいだろう。

「なっ……!」

ポッカリとあいた大穴からかなり大柄な黒いドラゴンと、比較的小柄な白いドラゴンの姿が現れた。
一方のセピアたちからしても、なかなかショッキングな光景が広がっていた。
アッシュによって引っ張り倒されているオーロラの姿。
しかもかなり強く引っ張ったせいか、オーロラの服の肩の部分が破けてしまっている。
まるでオーロラに乱暴しようとしていたところのような光景だ。

「セピア!」

オーロラはセピアの足元に駆け寄った。
安堵感からなのか、オーロラは目に涙を浮かべていた。

「遅くなってすまなかった、オーロラ……!」

セピアは優しく彼女を抱き上げ、目をつむって鼻先をコツンと当てた。

「オーロラ、私はまだ“やること”があるから先にカルメディと一緒に帰りなさい」

そう言ってカルメディにオーロラのことを預けた。

「じゃあ先に帰るけど、あんまり遅くなるなよセピア」

カルメディはオーロラのことをしっかりと抱いて、空へ飛び立った。


<2011/08/29 10:35 とんこつ>消しゴム
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