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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ − 旧・小説投稿所A

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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ

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しかしその後もアッシュの方が攻め続け、セピアの方が防戦一方という感じであった。
こいつ見た目に反してたいしたことないのか。
初めはそう思っていたアッシュだったが、次第にそれは間違いだということに気付いていった。
セピアの動きにダメージが見られないのだ。
体のいたるところに傷を負わせ、なおかつ出血しているというのにだ。

「はあ、はあ……」

アッシュの息がだんだんと上がってきた。
それに伴い動きも鈍くなってくる。
徐々に形勢が逆転し始めた。
セピアからも攻撃が来るようになる。

「ぐわっ!」

とうとうアッシュがセピアの攻撃によって吹っ飛ばされてしまった。
受身を取ろうとするも失敗し、頭を強打。
激痛により一瞬意識が飛びかける。

「やはりいい“匂い”だな」

セピアがアッシュに軽く足を乗せながら呟く。
巨体の持ち主であるセピアの『軽く足を乗せる』という行為は、人間であるアッシュからしたらとんでもない圧力であった。
匂い?何のことだ?
圧迫されていることによって息がうまく出来ないアッシュは必死で息を吸おうとしながら考える。
だが必死で息を吸おうとしたことによりその意味が分かった。
鉄のような“臭い”
血だ。
血の“臭い”をいい“匂い”だと言ってやがるのかこのドラゴンは。
アッシュは死に物狂いでセピアの大きな足をどかそうとする。

「暴れるな」

セピアは踏む力をほんの少しだけ強くする。
するとアッシュの抵抗は止んだ。
それを見計らったセピアは足をどけ、手でアッシュのことを掴みあげる。
そして

「うわっぷ」

大きな舌がアッシュの視界を覆った。
生ぬるい粘性のある液体がアッシュの顔にまとわりつく。

「おえっ、ケホゲホッ!」

突然のことにアッシュは思わず咳き込む。

「クックック、やっぱり私は血が好きなようだな」

セピアの目はまるで久しぶりのご馳走を目の前にしたかのようにギラギラと光っていた。


<2011/09/16 20:39 とんこつ>消しゴム
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