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続 夕立の日に − 旧・小説投稿所A

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続 夕立の日に

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「もう目を開けて良いぞ」

夕立の手を掴み鏡に入ってから十数秒。彼から許しが出た

夕はゆっくりと目を開けていく

そこは夕立に初めて会った時の暗闇と似た場所だった

視界に入ったのは二人の人

片方は夕立だったのだが、もう片方は金髪碧眼で白い着物を身に纏ったスラリとした体系の少女だった

彼女の年齢は十代半ばといった所

それにしても美しい

ただ美しいのではなく彼女は優しさに溢れるような美しさで誰にも好かれるというような感じだ

その容姿に夕は目を奪われ緊張してしまう

見つめられている少女はクスリと笑みを漏らすと口を開いた

「初めまして」

「こ、こちらこそ初めまして」

彼女は鈴の音のように澄んだ声で挨拶をした

夕も挨拶を返すが緊張のあまり声が裏返る

「もしかして桜さんですか?」

「ええ、そうよ。私は稲荷神の桜」

桜はにこりと笑う

その笑顔に顔が赤くなる夕。夕立はその様子を笑って見ていた

「さて、夕立。久しぶりね。私に何か用かしら?」

「別に用なんてねえよ。ただ夕が友達にずっと会っていないなんて悲しいなんて言うんでな…夕はお前にお菓子を持ってきたんだ」

「え、本当!?」

桜は口に手を当て上品な驚き方をする

そして視線を夕へと移した

いや…正しくは夕の持っている紙袋を見つめている

「じゃあ、皆で食べますか!」

夕はその場に座り、紙袋からお菓子を次々と取り出す

それを見た二人も夕の周りに座り、楽しいお菓子パーティが始まった




30分後

「あー、美味しかった!」

「食べた事のないお菓子だったわ♪」

「美味かったな!」

腹も膨れ大満足の三人

夕は食べ終わったお菓子の袋を紙袋に入れ片付けている

「夕君はさ、どうやって夕立と知り合ったの?」

「ええっと…夕立の神社で雨宿りしていたら鏡の中に引きずり込まれまして…」

「ふ〜ん…それは大変だったわね。多分夕立に食べられたんでしょ?」

「はい」

「それなのによく仲良くしていられるわね。一緒に住んでるの?」

「ええ、住んでますよ。何か夕立が住んでた鏡を割っちゃったとかって…」

二人の視線が夕立に集中する

「何だよ…」

「あんたって昔からドジだったけど…まさかここまでとは…」

「悪かったな…」

桜の言葉に夕立は胸を押さえている

夕の言葉同様グサッときたらしい

桜は夕に視線を戻すと、じっとつま先から頭まで舐めるように見る

「夕君って見るからに美味しそうよね。夕立が目をつけたのも頷けるわ」

「そ、そうですか…?」

夕は片付けが終わり、する事もなさそうに座っている

そこに桜が寄って来た

ペロリ

「ひゃあっ! な、何するんですか桜さん!」

「味見。やっぱり夕君は美味しいわ」

桜は夕の首筋を舐めた

その行為に夕は顔が真っ赤になり今にも倒れそうだ

「夕君。私頼みがあるんだけど…良いかな?」

「な、何ですか?」

桜は悪戯っぽい笑みを浮かべ夕の耳元でそっと呟いた

「貴方を食べさせてくれない?」



<2011/09/18 08:50 雪風>消しゴム
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