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【保】『究極』を求めた結果 − 旧・小説投稿所A
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【保】『究極』を求めた結果

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Bルート true end




・・・・まだ死んでない。



デモーニオはまだ、死んでいなかった。


暖かい海を漂っているような感覚。

なんだか優しくて、心地いい。

何も考える事ができない。 

体がなくなってしまたみたい・・・ いや、実際に無くなっていた。

魂だけで、クルスの体内を漂っているのだ。



どうして死んでいないのかはよくわからないけど、いつまでもこのままでいたい気もする。

ここで、ずっと、ずっと・・・眠っていたい。


・・・・ふわりとした、不思議な感覚。

デモーニオは、二度と覚めることのない眠りに・・・・











「うぅ・・・・ん・・・・・  ん・・・?」

長い時間を経て、(といっても数日)デモーニオは目を覚ます事ができた。

久しぶりの外の光。   いや、待て。


「え・・・・あれ・・・・・・?」

見える。光が。見える。病院の白い天井。見える。クルスの顔。

「あはっ。よかった。起きた。」

「え・・・?なんでっ、 ゆ、夢だっ、夢だこんなの・・・!死んだ後に見る夢なんだ・・・!」

「大丈夫。お前の体はここにある。お前は生きてるんだ。あ、視力は復活させといたよ。だいぶ苦労したけどね・・。」

「え・・・なんで、なんでそんな・・・?俺を殺すんじゃなかったのか・・・?」

「あはは、ちょっとしたサプライズだよ。ただポイッと直すんじゃつまらないでしょ?
だからちょっと・・怯えた顔も見てみたいなぁって。」

「ふ、ふざけんなよぉ・・・!ほ、ほ、ほんとうに怖かったんだぞ・・・!」

デモーニオの体はがたがた震えている。
だがその震えは恐怖ではなく、怒りと安堵の物だった。

「ばか・・ばかぁっ・・・うぅ・・・・こわ、かった・・・・ばかぁ・・・・」

弱弱しくクルスの事をぽかぽか叩く。

「あは・・ごめんねデモちゃん・・・ ってか叩かないでよ、痛いよ」

「ばかぁ・・・っ・・・・ばかぁ・・・・」





散々殴り終わると、疲れてしまったのかデモーニオはクルスにしがみついてクゥクゥと眠ってしまった。

「はぁ・・・・   どうしよう、これじゃ帰れねぇ・・・。」




その後クルスは病院の関係者に見つかり、散々尋問された。
なんとか『親戚だ』『心配になって見に来たら既に戻ってきていた』等言い訳をし開放されたが、まだ怪しまれている。



そして次の日。



「奇跡だ・・・これは奇跡だ!ありえん!」

「あ・・あの・・・ドクター?」

「デモーニオ君、君の目は絶対に元には戻らないというくらいひどい状況だった。
それなのに数日間行方不明になったと思ったらパッと直ってしまった。
いったい何があったんだ?!」

「あ、いえ・・あの、覚えてないです」

クルスには『あの事は黙っててくれ』と念を押されたので、何を聞かれても答えなかった。
もし口を滑らせてクルスの事がバレてしまったら・・・彼はこの病院を壊滅させかねない。


医者との話は終わり、今日退院する事になった。






「あの・・・クルス・・・?」

「ぁん?」


「本当に、本当にありがとう・・・。」

「あん。」

「クルスのおかげで・・・また光を見ることができた・・。心から礼を言うよ。ありがとう。」

「ぁん。」

「・・・・聞いてる?」

「うん・・・・あの、そんなお礼言わなくもいいぜ?ちょっとした暇つぶしだし ちょっとからかいたかっただけだし・・。」

「そんな・・そんな訳にはいかないよ。すっごくうれしいし・・・まぁ、怖かったけど・・・あの・・」

「あーうるせうるせ。早く帰れ」

「あう・・・クルス・・・・」

「何だよ」

「あの・・痛かった、けど、食べられるとき・・きもちよかった」











END



<2011/07/12 22:32 クルス>消しゴム
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