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消えた理性 − 旧・小説投稿所A

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消えた理性

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「じゃあ始めようか、僕をボスゴドラだと思ってね。」
「あ、ああ」
コラッタはビクビクしながら構える。

「おさきにどうぞ?」
「よ、よし! おりゃあーーーー!!」
カイオーガの隙だらけに見える体に向かって、コラッタは渾身の「たいあたり」を繰り出した!


ぷにゅ

「え…」
直撃した。しかしカイオーガの柔らかい体はいとも簡単にその衝撃を受け止めてしまった。

「く、くそっ!」
今度はがむしゃらを繰り出した。元々体力の少ないコラッタなので、与えるダメージは凄い。そう思ったのだ。

「まもる。」
ガキイイン!
凄かったのはカイオーガに与えるダメージでは無く、鉄壁の守りにより跳ね返ってきたダメージだった。

「うぐうう!」
「……」
カイオーガは喋らない。

「どりゃああああ!!」
根性で7発、連続で攻撃しまくるが、カイオーガはものともせず、真剣な眼差しでコラッタを見つめている。
「はあ、はあ、何とか言ったらどうだ!?」
「何を?」
冷たい声で言い返すカイオーガ、その瞳には厳しさしか映っていなかった。

「なにをって…」
「励ましの言葉でも言ってほしい?
やられたふりでもしてあげようか?」
優しさの欠片も感じられないその言葉にコラッタは怒りを覚え、再び飛びかかる。
戦闘で最も大切な、冷静さを無くして…

「うがあああああ!!」
「はあ……拍子抜けだよ。」
体当たりがまた、カイオーガのお腹に炸裂する。しかし…

ぽにゅん…



「くそおおおおっ!!」
「さーて、そろそろ遊ぼうか?」
自分のお腹に埋もれているコラッタに対して、ついにカイオーガの攻撃が始める。

「えいっ!」
「う、うぎゃああああああああ!!!」
カイオーガはお腹にコラッタを抱えたまま、地面にダイブした。

「ぐ、ぐはぁ!」
凄まじい圧力に、コラッタは吐血するが、
カイオーガは攻撃の手を緩めない。

「まだまだ!」
口の目の前にコラッタを持ってくると、カイオーガは容赦なくハイドロポンプを繰り出した。
「うぐえええええええええ!!!!!」
零距離で撃たれたコラッタは、遠くに飛ばされた。
「逃がさないよ?」
カイオーガは物凄い速さで追いつくと、コラッタを捕らえた。

「うぎゃああ!!た、たのむ!ちょっと待ってええ!!」
「ボスゴドラは待ってくれないよぉ?」
冷たくそう言い放つと、コラッタの頭と脚を掴み、大きくひんまげた。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
背骨は悲鳴を上げ、コラッタの体はイナバウアーより折れ曲がっていた。
「ほらほらぁ。早くしないと折れちゃうよ?」
本気は一瞬で砕き折る事はできるのだが、
それをやったらトレーニングにならない。





「ぐはぁ!」
ようやく地面に降ろされたコラッタは、
血を吐き、体中を曲げてゼーゼー言っている。
しかしカイオーガは指導の手を緩めない。
「さーてと。次は…」
カイオーガはコラッタの顔をくわえた。
驚いたのはコラッタである。
「な、なにを…」
「ボスゴドラが君を食べちゃうかもしれないでしょ?」
「い、いやだああ!!」
カイオーガは耳を貸さない。
「早くしないと食べちゃうよぉー?」
ズル、ズリュリ。

「ウムウウウ!!」
もう少しで呑み込まれる!という所で
カイオーガは口を離した。
「うむわああ!!……あ?」
突然解放され、驚くコラッタに、カイオーガは話しかける。
「ねえ…本当に明日決闘する気?」
「えっ。…」
カイオーガの言った事は正論だった。
いくら頑張っても、種族までは変えられない。ましてや…



「ううっ!…くそお!」
コラッタは悔しかった。いつもカイオーガに頼らないと生きていけない。それは何よりもコラッタの心を苦しめた。












次の日、コラッタの後ろをカイオーガがついていく。
そしてバトル会場に着いた。そこは…
…旧バンギラス城跡地だった。
もう既にボスゴドラは来ており、コラッタを嘲笑した。
「おいみんなみろよ!こんなのが俺の対戦相手だぜ? 時間の無駄だよなあー!」
「全くです、統領」
みんなが一斉に言う。屈辱的だ。
それをカイオーガは後ろから固唾を飲んで見守る。

審判が大きな声で叫んだ。
「これより!統領ボスゴドラ様対…」
「いいからさっさと初めてくれ。」
「ははっ!試合開始!」

試合の始まりを告げるホイッスルが辺りに鳴り響く。


<2011/05/15 13:08 ロンギヌス>消しゴム
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