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冷たい空と暖かい太陽 − 旧・小説投稿所A

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冷たい空と暖かい太陽

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 そう言うと、ルギア様はやわらかく笑って、僕を背中に乗せるために、わざわざ姿勢を低くしてくれた

 僕はそそくさとルギア様の背中によじ登った

 ルギア様の背中は、海の中で生活をするのに適しているのか、妙にツルツルしていた

「背中から落ちたら、口でくわえていくからな」

「絶対に落ちないようにします」

 一度経験した嫌な事が頭の中を流れたので、僕は即座に言って握っていた手の力を更に込めた

 ルギア様は面白げに小さく笑うと、その大きくて白銀に輝く素晴らしい翼を広げて、バサバサと上下に動かし始めた

「ヒトカゲ、先程は本当にすまなかったな。私は頭がどうかしていたようだ」

 少し間を開けて、ルギア様は言った

「自分が神だとは、よく言えたものだな」

 悲しげに、しかしどこか呆れたように、ルギア様は言った

「聖人ですら、水がなければ生きていけないのですから、今回の事は気にしないで下さい」

 そう言った次の瞬間、僕は一瞬、体をおいてかれたのかと思った

 ルギア様が急に飛び上がったのだ

 僕はさっきまでの余裕を忘れて、必死にルギア様の背中を掴んでいた

 飛行機よりも速く、風が轟音の如く耳に響いていた
 それでも、ルギア様が村の前に着く頃には、既に日は真ん中に来ていた

「……ほら、着いたぞ」

 フラフラとルギア様の背中から降りる僕を、ルギア様は笑っていた

(地面がこんなにありがたいなんて……)

地面を踏みしめながら、僕は思った

「さて、私は帰るとしようかな」

「あ、はい。今日はありがとうございました」

「うむ、また明日会おう。今度はあまり慌ただしくないようにしないとな」

 フフフ、と笑って、ルギア様はふわりと浮かび上がる

「では、またな、ヒトカゲ」

「はい!」

 冬の空はどこか寂しげな気持ちにさせる、けれど、今の僕の心の中は、暖かで優しい気持ちで溢れていた



<2011/07/21 09:41 ルカ>消しゴム
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