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冷たい空と暖かい太陽 − 旧・小説投稿所A
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冷たい空と暖かい太陽

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「ぷあっ! こ、ここは……外?」

 僕はちらりと横を見ると、あのルギア様が苦しそうに、呻いていた

「ルギア様! 大丈夫ですか!」

 僕はたまらずルギア様のもとへ走り寄った

「ルギア様! しっかりしてください!」

 そう言った直後、ルギア様の尻尾が僕に巻き付いて持ち上げた

「ゲホッ……フフフ、さぞ満足だろうな。お前を喰った私が苦しそうにしている様は。……うぐっ!」

 そう言って、ルギア様はまた嘔吐する

 辺りには、嗅ぎ慣れた悪臭が広がっていた

「そ、そんなことは思ってないです! それよりも、早く手当てをしないと」

「……ククク……この偽善者め……」

 そう言うと、ルギア様はまたあの時と同じように、大きく口を開けた

「ヒッ!」

 その反応が間違いだということは、すぐに分かった

「やはりな……」

ルギア様はゆっくりと口を閉めて言った

「あ……これは、その違うんです」

「言い訳など、どうでも良い」

 少し落ち着いてきたルギア様は、妙に静かに言い放った

「フゥ……。まったく、ここまでやる奴だとは思わなかった。お前……名は何という」

 突然の質問に戸惑いながら、僕は早口に言った

「あ、ヒ……ヒトカゲといいます」

「うむ、ヒトカゲ。私はお前の偽善さぶりに呆れた。だから、私はもうお前を喰うような真似はしない」

 『偽善』という言葉が気になったけど、ルギア様がもう僕を食べないと言ったことは、正直に嬉しかった

「私も頭に血がのぼっていたのだ。……すまなかったな」

 そう言って、ルギア様は僕に巻きつけた尻尾を緩めた

「そんな、謝らないでください。誰だって、追い詰められたら焦りますよ、食事でも何でも」

「フフッ……変わった奴だ」

 ルギア様が笑うと、寒かった気持ちが、ほんのりと春の日差しを浴びたかのように、暖かくなった

「さて、お前はもう帰るのか?」

ルギア様が翼を大きく広げて、僕に聞く

「あ、はい。そろそろ帰らないと、村の人達が心配してしまうので……」

 そう言うと、ルギア様は“ニッ”と笑って、

「ならば、私の背中に乗るがいい。まだ村へは少し距離があるからな」

「えっ! そんな、悪いです」

「いいからさっさと乗れ、それともさっきと同様に喰われたいのか?」

 冗談だと分かっていても、どうしても顔がひきつってしまう

「じ、じゃあ……お言葉に甘えて……」

 


<2011/07/21 08:53 ルカ>消しゴム
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