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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 死を呼ぶ苦痛から −
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「手始めに…調教でもしてやろうか?」

バビロンは漆黒の左腕を突き出した。
次の瞬間、何も無かったはずの掌に、紫色のアメーバ玉が出現する。


「な、なに…それ…」

「…喜べ…俺からのプレゼントだ。社内の裏切り者に使ってる物だがな…」


まるでベトベトンをそのまま丸めたような、不健康そうな色合いのボール。
バビロンは逃げ場を探すカイオーガの胸に、それを容赦なく落とした。



どちゃっ…ジュプ…

「ひ…! な、なんだこれぇ…!!」

生ゴミのような腐臭を放ち、ドロドロと意思を持って動く生命体…
瞬く間にカイオーガのヒレ、尾びれ、背中に絡み付いた。
彼の身体の半分以上を紫に染め、右目に頭から覆い被さって視界を奪う。


「だめ…取ってよ気持ち悪いぃ…!!」

「約束の時間までには取ってやる。それまで喘ぐなり叫ぶなりやってろ…」

粘性アメーバの餌食になっているカイオーガを捨て、バビロンは部屋の隅へと
歩いていった。残り二時間半…たっぷり観察するつもりだ。



「ひぅっ…!! 息が…苦し…」

魚のようにのたうち回りながら、口への侵入を防ごうとする。
アメーバは彼の体力を削ぎ落とし、着々と口内を犯そうとしていた。
紫色の粘液を、カイオーガは思わずジュルッと吸い込む。


「んうっ…!! @!/&8:fxj-\2」bl$@:?._;"]>}[ ]*@!!!」

「そりゃ美味くねぇよな…w 何しろ廃液から造ってんだから…」

本能的にハイドロポンプを繰り出し、強引に口の中を洗う。カイオーガは
フルマラソンでもした後のような呼吸を繰り返していた。
床に押し付けても雨を降らしても、アメーバが離れる気配はない。



「お前のマスターとやらにその姿…晒させてやろうか?」

「や…やめて…こんな格好で…」

もう本来の体皮…青く滑らかな肌は、アメーバに占拠され見えなかった。辛う
じて左目と口が、今にも飲み込まれそうな状態で残っている。ひどい脱力感に
苛まれ、カイオーガは眠るように瞳を閉じる他なかった。



「助けてよ……マス…タ…」

「おおっと。気絶して苦痛から逃げるつもりか?」

完全に毒を帯びたカイオーガのヒレを、バビロンは踏みつけて起こす。
ハイドロポンプどころか水鉄砲すら使う気力も失せた彼の口は、容易くもアメーバの侵入を許してしまった。



「う…おぇぇ…」

温もりの欠片もない床に突っ伏し、カイオーガは胃液を吐いて震えていた。胃
の中に入ったアメーバが、胃壁を舐めるように弄んでいたのだ。舌を出し、
気分を悪くしていく人質を、バビロンは眉一つ動かさずに眺め続ける。


「へ…えへへ…絶対に殺してやる…」

「怖いねぇ…とうとう錯乱でもしたのか?」

カイオーガは荒い息と脅し文句を吐き、尖った八重歯をバビロンに剥いた。
こいつを噛み千切ってやれれば…どんなに幸せだろう…



「ん…がはっ…ぅがぅ…!!」

「フフ…全く面白い奴だよお前は。ほら、これにしてほしい事を書いてみな。」

何処からともなく高そうな紙と、万年筆を取り出すバビロン。これらもまた、虐めを楽しむための小道具だった。床にそれを投げ捨てるように置き、カイオーガの縄も解く。


「ぅ…いったい…何を…」

「自分の望みを書き出してみろって。最も…その汚いヒレで書けるのならな。」

明らかに小さ過ぎる万年筆。元々字を書く習慣のないカイオーガにとって、
それは難題だった。しかし意識が飛びそうな吐き気を催しながらも、ヒレの先
で万年筆を取る。粘液質なアメーバが、ポタポタと床に落ちた。


「書いたら…ぅえっ…本当に助けてくれるの…?」

「ああ。もちろん。」

半分しかない視界で疑いの目を向け、カイオーガは小刻みに震えるヒレで
殴り書きする。紙には何とか判読できる字で、『ここから出して』と書かれていた。
一文字に要した時間は…およそ15秒。




「ほう…? よく書けた…なっ!!!」

「え…あっ…」


悔し涙が床に染みをつくったのは、書き終えてすぐの事だった。バビロンの
巨足が万年筆を握ったままのヒレを、再び踏みつけたのだ。紙がぐしゃぐしゃ
になり、ただのゴミ屑となる。


「おやおや? これじゃ何書いたか分からないな…もう一度書け。」

「うぇぇ…!! もぅ…ぃゃ…」

その後は無残にもその繰り返しだった。カイオーガが十回文字を書けば、バビロンは十回その文字を踏み崩す。
インクが底を尽きるまで、この遊びは終わる事はなかった。


<2011/06/05 17:42 ロンギヌス>消しゴム
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