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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− クイーンを守れ −
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「お前も…ここの職員か…?」

「ち、違う…!! 私は観光で…」

「何でもいい…ありがたく頂いておこう。」

通路の壁に描かれた、リーグの威厳に満ちたシンボルマーク。そこに
若い男を押さえ付け、バビロンは酷く粘りの強い涎を垂らしていた。
ただの観光客すら彼の獲物としては例外ではなく、捕まればもちろん行く先は…


「俺の腹の中…入れるのを光栄に思え。」

「ひっ…!! だ、だれかあぁああああぁっ!!!!」

信号機ぐらいの高さから男を見下ろし、バビロンはニヤッと笑顔を見せる。
恐怖しか生まれないその笑みに怯えながら、男は彼の口に持ち上げられた。腰の
絶妙な位置を咥えられ、男は抵抗しようにもできなかった。

「あぅ…た、たしけて…ぇ…」

「フフ…9人目♪」

嬉しそうに目を細め、余計な快楽は与えずに呑み込んだ。電柱ほどの
太さの食道を下っていく膨らみを見つめ、食後の舌舐めずりをする。
男はむちむちと肉壁を押し広げながら、最後は胃袋という鍵のない
ロッカーに預けられる羽目になった。


ずむぅ…ずむっ…

「暴れると返って苦しいと思うが…まあ好きにしろ。」

儚すぎる抵抗を気に留めず、バビロンは廊下を先に進んだ。九つの哀れな獲物を
含んだ腹を揺らしている。
目的は観光客でも職員でもなく…レムリアなのだから。




ズシン…ズシン…

「今度は誰だ…?」

「バビロン様!! 社より参りました、任務遂行の援助をさせて頂きます!!」

ゴミ箱を蹴り飛ばし、突き当たりを右に曲がった所で、大勢の黒いスーツに身を
包んだ者達と出くわす。どうやら上層部からの命令でやって来た、バイオリック
社の部下らしい。

「ムゲン竜、及びT4ガイアメモリ設計図。その回収に全力を尽くさせて頂きます!!」

「……好きにしろ…」

「ははっ…!!」

まるで鬱陶しい子供を振り払うかのように、バビロンは欠伸をしながら
歩き出した。どうせアテにならない集団だと、高い知能が弾き出してい
たのだ。いるもいないも同じような部下を連れ、バビロンは黒いドアの前に辿り着いた。


「ここですか…? バビロン様…」

「・・・・」

さっきの通路と同様、ドアにはモンスターボールを象ったマークが刻まれて
いる。他の扉にはこれがない事からして、バビロンはこの部屋がチャンピオ
ンのプライベートルームだと認識した。


「下がっていろ…吹き飛ばす…」

「ははっ!! 全員、下がれぇ…!!!」

機械のように後退する部下を尻目に、バビロンは右手に莫大な力を込めた。
鋼鉄で遮られているそのドアに向かって、怖気も見せず拳を突き出す。



ドガッ…バキャァァアア!!!!!!

堅いロックが掛けられているはずのドアが、爆音を上げて部屋側に弾け飛んだ。
ベコベコに凹んでいる扉の残骸を蹴散らし、バビロンはついに目的地へたどり着いた。

しかし・・



「ぬぅ…何も見えないな…」

威力を出しすぎたパンチを喰らわせたためか、辺りに煙が深い霧の
ように立ちこめていた。自分の視力を10.0に設定しても、何ら変わ
らず白い煙しか見渡せない…



デゥンデゥン…!! ドギュゥン!!

「何…!」

青い光線がバビロンの肩を掠め、今しがた一緒に入ってきた部下の
一人に命中する。バビロンは攻撃の出どころを探るように、部屋中を目を凝らして探した。



ニュルン…ぬぷっ…ゴキュッ、ゴキュッ…

「バ、バビロン様…&#8252; へ、蛇が…蛇がぁぁあっ!!」

銃声の後に耳に入って来たのは、生々しい液体と大蛇が這うような
音だった。実際視界はほとんど無いものの、バビロンは近くの部下
がその蛇の餌食になるのを確かに見た。


ガシッ…ゴキッ…メキッ…!!

「ひ…あぎゃっ!!!」

痛々しい悲鳴と、何か固い物が折れた音…
バビロンはまたしても
何者かが隣の部下に忍び寄り、その首に腕をかけるのを見逃さなかった。
今度こそと狙いを定め、口から赤い光線を撃ち込む。



ビュゥゥ…ズガァァァァアアアン!!!!

キチッ…『SHILED(盾)!! 』

バビロンにも聞き覚えのあるメモリの叫び声。
目の前の煙幕に隠れている
者がそれらしき物を構えるのが見えた。自慢の光線が、跳ね返されて部屋
の壁に大穴を開けた。


「誰だ貴様…さっきの奴らか…?」

「その通りですよ…人工竜さん。」

『盾』の記憶が秘められたシェルターメモリを使い、バビロンの光線を
返した張本人は、ラティオスだった。抱きかかえているバビロンの部下
を丁寧に床に寝転ばせ、メモリをくるっと回して手中に戻す。



その時、しばらく漂い続けていた爆煙が晴れた。
次第に明らかになる周囲の状況を見て、バビロンは息を呑んだ。


「…ちょ、ちょっと食べ過ぎちゃったかなぁ…?」

「…ご冥福を祈ります…」

辺りにゴロゴロと転がっているバイオリック社の部下達。その内の数名は
カイオーガの間食代わりとなり、また他の者はラティオスが得意の極め技
で仕留め、首を折られて死に絶えていた。三秒ほど彼らに向かって手を合
わせた後、ラティオスはバビロンの方へ向き直る。


「招かれざる客ですねあなたは…お引き取り願いますか?」

「ムゲン竜一匹、T4メモリ設計図を渡せば即座に帰らせてもらうが…」

「じゃあ好きなだけ居座って下さい。私達が…追い出しますけどね…」

ラティオスの右にはカイオーガ、左にはロンギヌスがライバーを構えて
決戦を待っていた。バビロンは運良く生き残った3人の部下をバックに、
レムリアの防衛軍を鼻で笑った。


「…貴様らの調べはついている。スカイ=ラティオス、
空中戦や頭脳戦のエキスパート。懸賞金1億円。」

「……何でそこまで…」

「エターナル=カイオーガ、懸賞金4億2000万円。
エスパーを習得した異常種で、戦闘力は戦艦4隻を沈めるレベル…」

「…褒めてないよね? それ…」

「本名不明、ロンギヌス。最新のT3メモリの所有者で、
未知なる召喚銃ディエンドライバーも持っている。懸賞金は5500万円…か。」

「ちょ…ちょっと待った!! 何で俺が指名手配されてるんだ!?
それにカイオーガやラティオスも…」

次々に明らかになっていく彼らの懸賞金。しかし当然、お尋ね者になる
心当たりなどロンギヌスにはない。今まで一般人として…学校に通って
生きていたのだ。


「お前がムゲン竜を強引に監禁している…これで罪。
そして貴重なその竜を政府に渡さないのも…罪だ。」

「監禁じゃないわ!! 私は自分の意思でここにいるのよ!?」

ずっと沈黙を守っていたレムリアが、怒りを燃やして反発する。
バビロンはやれやれと首を振り、一枚の手配書を見せつけた。


「…ベクトル=レムリア、懸賞金は9億だ。
だがその金額は強さだけで決定してる訳じゃない…
重要度、危険度、そして価値によって決められているのだ。」


クリーム色の竜の写真…手配書をくしゃくしゃに丸め、バビロンは全壊した
窓から外に放り投げた。


「さあお話しはここまでだ…次は身体で語り合おうか…!!」



<2011/05/31 23:09 ロンギヌス>消しゴム
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