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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A
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『運命』の記憶
− End the fight −
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ついに倒れる、リーグを破滅へと導いた人工竜。ロンギヌスはその
巨体を目の前にしながら、しゃがんで囁くように話し掛けた。



「……痛いんだろ? 身体よりも…心が。」

「…畜生…畜生…!!」

心などない…プログラム通りにしか動けないはすのバビロンが、
両眼を押さえて泣いていた。ロンギヌスはそれをカイオーガ達
から隠すように、体を彼らの死角に立たせた。

バビロン自身、なぜ涙が出るのか説明できない。別に皮膚が溶けて
いようとも、涙など絶対に流れるはずがないのだ。ただ彼の深い所に
あるココロが、しゃくり上げて悔しさを訴えている。

「命令が果たせなかったからじゃないよな?&#160;
それ以前に何か…欲しいものがあるだろ?」

「わ、私が求めるのは名誉だけだ!! それ以外にはなにも…」

歯を血が出るほどに食い縛り、喉に溜まった唾液を飲んでバビロンは
口走った。ロンギヌスはもう何回したかも分からない溜め息をつき、
ヨロヨロと立ち上がった。


「・・単にさみしいんだろ?」

「…!? き、貴様なにを…」

「って…そりゃそうだよな。友達も本当の仲間もいない…
一生バイオリック社の『道具』として生きるんだもんな?」

「だ…黙れぇ…!!!!」


あからさまな挑発に乗ってしまう程、バビロンは精神的に参っているようだ。
ロンギヌスは数えるほどしか言った事のない言葉を、そのとき久しぶりに口にした。








「…お前さ…仲間になるか?」

「はっ…? 馬鹿を言うな…」

「別にいやなら全然構わないぞ? 俺らもこれ以上戦うのはアホらしいし、
リーグを襲った罪も全部パーにしてやる。だから早く…出て行け。」


その冷たい言葉に、バビロンは平手打ちを喰らったような顔をした。
唇を固く閉じたままのロンギヌスの後ろでは、カイオーガ達が楽しそ
うな笑いを飛ばしている。バビロンが仲間に加わるかもしれないのを、
まだ彼らは知らない。




「…夢は…叶えさせてもらうぞ。」

「は?」

今度はロンギヌスが聞き返した。
バビロンは涙を手首で拭い、赤い瞳を睨むように見せつけてきた。

「私を造った…狂った人生を造ったバイオリック社を潰す。それが私の夢だ!!
も、もし…それに異議がないなら…」




















「な、仲間になってやっても…いい…」

「…異議どころじゃない。協力してやるよ。」

闇色にまみれたバビロンの手に、始めて握手が交わされた。
それは「仲間」としての歴史を刻む、第一歩とも言える握手だった。



その後はロンギヌスにとって、チャンピオンになって以来の大仕事だった。
猛反対するラティオスを説得するのに一時間。
レムリアに対して、バビロンの頭を下げさせるのに一時間。
壊れたリーグをメモリで修復するのに五時間。
スーパーコンピュータ『クォーク』は、
なんとバビロンとカイオーガが共同で復活させた。

そして目玉とも言える作業…それは…






==============






「バ…バビロン様…!! やめて…やめてくだ…さい…」

リビングの隅で寝かされていた、元バビロンの部下達。バビロンの強い
要望もあって、バイオリック社へは帰らせないという判決が下った。
しかしバビロンのように、リーグの住人にするはずもない・・となれば行き先は決まっている。



ぬっぷぁ…ハグッ…あむっ…

捕食者4匹がかりで、怯える戦闘員の駆除が始まった。バビロンは
慣れた手つきで彼らの肩を押さえ、思う存分鳴かせてから、胃袋の
中に収納してやった。それと対してレムリアは、久しぶりの人間
食らいに興奮気味だった。


「来るな…う、撃つぞ…!!」

「ふふ…もう撃ってるじゃない♪」

性欲をくすぐる笑顔を見せ、弾丸のくずをパラパラと胡麻のように
散らばすレムリア。彼女の柔らかくも張りのあるお腹にそっと抱か
れ、優しく頬を撫でられた戦闘員は、最後は自分から呑み込まれて
いった。子を宿したように膨れた白いお腹を、陶酔しながらむにむにと揉む。



「…抵抗しないんなら…食べちゃうぞ?」

「やめろ…す、すればいいのか…!?」

「別に♪」

丸太級に太くアナコンダのような舌で、カイオーガは二人まとめて
締め上げる。一人は全身全霊でもがいているが、もう一人は青い顔
で完全に諦めてしまっている。ぶにぶにと弾力ある肉質が肌に密着し
てしまい、唸るような声を上げていた。乾いた舌の感触は、彼らにと
って、「気持ち悪い」以外の何でもないようだ。

「じゃあ…いっただっきまーす…♪」

「,<*{\"た} @\-&す\j]=$= け@(-\xて%_!!!!」
「……はぁ…」

屈託のない、子供のように無邪気な舌使い。喉圧をたっぷり掛けて
彼らを胃に送りこむと、えらく満足そうにゲップを吐く。



「おーいお前ら…お残しは許しまへんで?」

「もう誰もいませんよ。」
「完食だもん♪」
「美味しかったわ…また来てくれないかしらね。」
「呼んでやろうか? まだこちら側についた事を知らないからな、バイオリック社は。」

ラティオスも狭いであろう腹の中に二人も押し込んでいた。それを
象徴するかのように、呑み込まれた者の頭らしき部分がポッコリ出
ている。食事を終えたばかりだというのに、ラティオスは不意に涎をこぼす。


「おっとっと…失礼。」

「そういえばマ、マスター…? T4メモリはどうした?」

さっきまで死を賭して闘っていた相手に「マスター」と呼ばれるのは、
ロンギヌスも不思議な感覚だった。首から『フェニックス』メモリ…
手首から『ディスティニー』メモリを抜き取り、ポケットからもう一本
…バビロンそっくりの黒いメモリを取り出した。

「これに何の記憶が詰まっているのか、知りたい?」

「あ、ああ…」

「それはな…」

その後ロンギヌスがとった行動に、驚かない者はいなかった。世界
最高峰のメモリを床に叩きつけ、さらに足で、これでもかと踏みつ
ぶしたのだ。バビロンが呆気に取られている間に、メモリはただの鉄くずとなっていた。



「あっちゃいけないんだよ…本当は。不死の力も、運命を変える力も…」

ロンギヌス以外誰も知らない、最後のメモリが持っていた記憶。
壊れた以上それを知る方法は無いが、ただ言えるのは・・
それが最凶を招くという事だけだった。



『運命』の記憶
おわり



皆さん、お読み頂きありがとうございました!
<2011/06/24 22:30 ロンギヌス>
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